進む、オムニチャネルマーケティング
大企業を中心に、組織の再編成が始まっています。
従来ではECとリアル店舗、システム、カスタマーサポートというように、それぞれの部署のトップが担当部署のKPI管理を行っているのみで、部署間を連携するような戦略は持っていませんでした。自分の部署の売り上げが人事評価の対象だったこともあり、部署間で顧客や在庫を奪い合うような姿さえ見受けられました。今でも、まだまだそういった企業は多数あります。
しかし、顧客や在庫データの重要性に注目した大企業は、いち早く「リアルからECへ」「ECからリアルへ」顧客を送客することにしました。そのためにバラバラだった「部署」と「システム」を統合し、「業務」と「データ」一元管理したのです。
リアル店舗でもECでも同じ体験ができるようになった結果として、顧客の利便性は向上しました。また、今までキャッチアップされていなかった顧客の声が販売や生産の各現場で共有されるようになり、そこから新しいサービスや商品を短いリードタイムで顧客にお届けできようになりました。顧客、販売、在庫、位置データなど、データをフル活用したマーケティング、マーチャンダイジングが普及し始めています。いわゆるオムニチャネルマーケティングです。
フロントだけの単機能ECサイトでよかった時代は、もはや終わりに近づいています。競争が激化している市場の中で、顧客を囲い込み、販売シェアを高め、収益率を高め、さらには、新規市場を開拓するためには、顧客を中心に据えた顧客ロイヤリティマネジメントの考え方をE-コマースに実装しなければなりません。
弊社・辻の「“つながる”フルフィルメント」でお話しさせていただいたように、顧客との関係性に力点を置き、既存顧客との関係を深め、「1人ひとりの顧客と向き合い、より優れた購買体験を演出することで顧客満足度を向上させ、顧客と強い関係を築く」が重要です。
しかし、顧客の心をつかみ、強いインパクトを与えることは、数年前よりも一段と難しくなってきています。消費者がスマホ、ビデオ・オンデマンドなど個人市場にターゲットを絞った多様な製品やサービスを追い求めていくため、従来型のマーケティングの多くがその効果を発揮できなくなってきています。
また、マルチメディアを無料で提供するサービスや、ECサイトの競争が激化しサービスが洗練されていった結果、顧客側が今まで以上に多くの価格情報と商品情報を入手できるようになったという側面もあります。