フラクタは、ECを軸としてD2Cブランドの立ち上げや成長を支援している。戦略策定からマーケティングコミュニケーション設計、ECサイト制作までを一貫して手がけており、「日本のブランド価値の総量を増やす」をミッションに掲げるブランディングエージェンシーだ。
河野氏はフラクタについて「一般的にブランディングというと、クリエイティブを設計する、世界観を醸成するという側面が大きいように感じるかと思いますが、フラクタではその企業自身が成長し続けられることを目標に、ブランドビジネスそのものを、ともに創っていく姿勢で活動をしています」と話す。
なお、河野氏は土屋鞄製造所のデジタル戦略担当の取締役も兼任しており、ECプラットフォーム「Shopify」のエバンジェリストも務めている。
ECにネガティブなイメージがある5つの理由
河野氏はまず、「ECにネガティブなイメージを抱く方も多いのではないでしょうか?」と参加者に尋ねた。これには主に5つの原因があるという。
ひとつは、自由度の低さだ。
「ECカートシステムやASPの自由度が低かったり、開発会社やパッケージに依存せざるを得ないことで、デザインに介入できるシーンが少なくなり、ECサイト自体の自由度が低く認識されているように思います」
ふたつめは、管理の煩雑さ。ECサイトは一般的にページ数が膨大になることもあり、開発会社やデザイン会社、プロジェクトマネージャーなど、多くのメンバーがチームに関わることになる。こうした事情によりECサイト全体を管理するのは手間がかかる、というイメージが生まれると河野氏は指摘した。
3つめは、個人情報をはじめ、ECで取り扱う情報にはセンシティブなものが多いため、情報の取り扱いに慎重にならなくてはいけないこと。4つめに挙げたのは、努力が評価されづらい点だ。ECに関わる事業が順調に進んでいるときは問題ないが、なかなか頑張りが評価されなかったり、何度作り直しても喜んでもらいにくいといった背景があるようだ。
そして5つめは、作り手から見て「ECが単純につまらなそう」というイメージがあること。河野氏もたびたびこの手の質問を受けるという。
これらを踏まえたうえで、「これまでのECは、確かにこうした側面を持っていました」と河野氏。だがそのあとに「これからは違う」と強調した。