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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

数字で見る自社EC

自社ECで利用される決済方法はどう変化したのか 2020年、◯◯Pay時代を迎えるためのおさらい

 自社ECはどのように変化し、これからどこへ向かうのか。SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の運営実績から導き出された、実際の数値データから読み解きます。

 コンビニやスーパーなど、生活圏内でよく見かける◯◯Pay。2020年は自社ECにも利用の幅が広がることが予想され、ショップ様は各ECプラットフォームの対応状況や生活者の利用状況など、情報にアンテナを張り巡らせることになるかと思います。

 自社ECの決済はこれまでもさまざまな手法が登場しました。EC黎明期ではクレジットカードを利用することに抵抗感があり、代金引換など商品到着を待った支払いが多く選ばれましたが、EC普及期ではクレジットカード利用が増加。

 そして次々に後払い、キャリア決済、ID決済、バーコード決済などとサービスが拡充するのですが、この中で自社EC決済にとってひとつのターニングポイントがあったとすれば、それはAmazon Pay(旧:Amazonログイン&ペイメント)だったと言えるでしょう。

 ご存じの方も多いかと思いますが、あらためて説明すると、Amazon PayはAmazon.co.jpアカウントに登録された住所情報とクレジットカード情報を使って、商品やサービスの支払いができるサービスです。

 今回は決済利用状況のデータを基に、これまでの変化と今後、決済を導入するポイントについて、お話ししていきたいと思います。

決済方法のトレンドはどのように変わった?

 SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」でAmazon Payがリリースされたのは2015年9月1日。

 今でも覚えているのは、サービス受付開始直後、あまりのアクセス集中にオプションサービス受付フォームが一時的に混雑していたこと。社内でもその注目度の高さに驚いたものでした。以降、フォームを増強したおかげか、お申し込み周りで見られなくなった、などのトラブルは発生していません。

 下記はAmazon Payリリース1年前の2014年9月、リリース時の2015年9月、リリース1年後の2016年9月、そして2019年9月の月間決済件数から、主要な決済方法で利用割合をまとめたグラフです。なお、特定業種の店舗を抽出せず、Amazon Pay未契約店舗を含めた全店舗分の調査であるため、一般的な自社ECのお話としてご参考になさってください。

 まずは全デバイス、スマートフォン、PC、そして2014年はフィーチャーフォン(通称ガラケー)を含めた決済利用状況です。Amazon Payもクレジットカード決済の一種と考えると、2019年にはクレジットカード利用は合算して6割強の利用率でした。

 Amazon Pay登場後、クレジットカード利用ユーザーがAmazon Payに移行するのかと思っていましたが、そうではなかったようです。自社ECでクレジットカード決済は不安だから、などの理由で敬遠されていた時代は終わり、注文者へ手数料が発生せず、情報を入力するだけで気軽に購入できる決済手法を選択するようになった、という変化を感じます。

 その変化を受け、コンバージョンまでの適切な導線設計はもちろんのこと、クレジットカード情報漏えい等の事件を起こさないよう、ECサイトのセキュリティ対策がますます重要になってきていると考えます。

 余談ではありますが、2014年のフィーチャーフォンでの決済利用状況は代金引換が4割、クレジットカード利用が3割という状況でした。

 続いては、デバイスごとのデータに移ります。

 青色で示したAmazon Payの利用状況を見てみると、スマートフォン、PCどちらのデバイスでも2%前後から2016年には10%程度、2019年では17%前後まで伸びています。1年ほどで決済シェアの10%を占めるのは非常に稀。Amazon.co.jpを利用している生活者が多いことを再認識するとともに、ここまで伸びるとはリリース時に想像していた方も少ないでしょう。

 一方、Amazon Pay利用に伴い減少した決済方法はグラフ緑色の代金引換。スマートフォン経由の決済では2019年には17ポイントも下がる影響を受けました。2014年から比較すると利用率は3分の1となり、時代が変化したようにも感じられます。

 時代背景として、代金引換を利用した受取拒否の問題から、決済方法として提供しているショップ様が減少したことも一因として考えられるものの、Amazon Pay登場が影響を与えたのは間違いないでしょう。

 同時に、興味深い数字として黄色で示されている後払い決済は、スマートフォン経由で1年で4ポイントほど伸びた後、その後2ポイント下がっています。その他の決済はどちらのデバイスでも減少する中、考えられることとしては、代金引換を利用できないショップ様で、クレジットカードを持たない方の後払い利用が選んでいるように見受けられます。

 グラフ赤色のクレジットカード利用はAmazon Pay登場後、一度両デバイスとも利用率が下がり、スマートフォンでは2019年が一番高いという、少し変わった動きを見せています。

 スマートフォンでのクレジットカード利用が増加した原因を考えると、スマートフォン画面が大型化、視認性向上で情報を入力しやすくなったという端末の変化や、クレジットカードを入力することに抵抗がなくなった利用者の変化、また、クレジットカード利用のポイントを貯めたいなど、付帯サービスなどが挙げられるのではないでしょうか。

まとめ

  • リリース後、Amazon Pay利用は右肩上がり
  • 一方、代金引換利用は減少傾向
  • スマートフォンでもクレジットカード利用者の増加
  • Amazon Pay利用でクレジットカード利用が減少したわけではない。むしろ、クレジットカード利用はスマートフォン経由で増加傾向。

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この記事の著者

株式会社フューチャーショップ 野間和知(ノマ カズトモ)

通信業界からクラウド業界に飛び込み、サービス企画などを担当後、台湾に1年滞在。 その後フューチャーショップにて、 データ分析・社内IT整備・プロモーション・広報を担当。 特技は、旅行中に入った飲食店に当たりが多いこと。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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