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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2019 KANSAI レポート(AD)

ミキハウスの成功事例に学ぶ!画像認識AIがもたらす次世代eコマースでの顧客体験

 テクノロジーの発展により、AI技術は目覚ましい進化を遂げている。AIによる精度の高い画像認識が支える検索機能とレコメンド機能により、eコマースはこれまでの課題を解決して次のステージへと移行しようとしている。2019年10月25日に行われた「ECzine Day 2019 KANSAI」に登壇したのは、eコマース向け画像認識AIサービス「popIn Action」を提供するpopIn株式会社の吉岡氏。その機能や効果を紹介するとともに、同サービス導入企業である三起商行株式会社(ミキハウス) 楠氏とのトークセッションでは、画像認識が持つ可能性について語った。

ネイティブアドネットワークからECサイト領域への参入

 東京大学発のベンチャー企業として2008年に設立されたpopInは、現在約850のニュースメディアに、レコメンド型ネイティブアドネットワーク「popIn Discovery」を提供している。2015年には中国の百度(バイドゥ)と経営統合し、中国、韓国、台湾、東南アジアにも進出。また、家電の開発も行っており、プロジェクター付きシーリングライト「popIn Aladdin」は国内で約3万台の販売実績がある。

 そんな同社が2019年4月にリリースしたのが、AIによる画像認識を活用したeコマース向けレコメンドサービス「popIn Action」だ。

「弊社はユーザーの行動履歴を使うのではなく、文脈に合った『似ている記事』をレコメンドすることで、記事CTRの向上を実現してきました。コンテンツレコメンドウィジェットのpopIn Discoveryで培ってきたこのレコメンドに対する考えかたと、最新の画像認識技術を組み合わせることで、eコマース向けの画像認識AIサービスが誕生しました」(吉岡氏)

popIn株式会社 Eコマースソリューション事業部部長 吉岡 真宏氏
popIn株式会社 Eコマースソリューション事業部 部長 吉岡真宏氏

popIn Actionの主な機能と効果

 popIn Actionには大きくふたつの機能がある。ひとつは画像検索。ユーザーがECサイト上でスマホに保存した画像をアップロードすると、画像をAIで解析し、類似商品の検索結果を表示する。ブランドや商品名がわからなくても、画像から商品を探すことができる。

 アップロードされた画像は無償でEC事業者に提供される点もポイントだ。吉岡氏によると、アップロード画像はInstagramのものが約4割、雑誌の誌面を撮影したものが約3割、ECサイトのメイン画像を撮影したものが約2割。ほかには、テレビに映る有名人を撮影した画像もあるそうだ。吉岡氏は、「ユーザーの趣味嗜好が現れるアップロード画像は、これまでECサイトが蓄積できなかった種類のデータであり、非常に価値が高い」と語る。

 もうひとつの機能は、閲覧中のアイテムの類似商品を一覧表示するものだ。ハースト・デジタル・ジャパンが運営する「ELLE SHOP」の事例では、滞在時間が約3.2倍長く、CVRは2.7倍高く、最終的な購入単価も約1.4倍高くなったという。「類似商品を表示することで比較検討が進めやすくなり、新しい商品との出会いも作れたことによる結果」だと吉岡氏は分析する。

 さらにふたつの追加機能も用意している。ひとつは、「お気に入りレコメンド機能」。ユーザーがお気に入りに追加すると、その画像を解析して類似商品をレコメンドする。お気に入りの投入数を増やすことができ、直接的に売り上げに貢献できるという。

 もうひとつは、「コーディネートページのリッチ化サービス」。これは、コーディネートページのメイン画像を解析し、似ている商品の一覧を表示する機能だ。一般的なコーディネートページだと、コーデ画像の中で着用している商品を手動で紐付け、2〜3点の商品リンクを設置しているケースがほとんど。その提案の幅を広げることで、各商品への到達率を上げていくことが目的だと、吉岡氏は説明した。

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サービスの重要性を裏付けるアンケート結果

 こうしたpopIn Actionのサービス開始の背景には、同社が女性600名を対象に行ったアンケート結果がある。

 そのひとつが、「ファッションアイテム購入の際に、公式オンラインショップを使うユーザーは約50%」というものだ。残りの50%に向けて、「自社サイトで購入してもらう理由を提示する必要があるのではないか」と吉岡氏は考えた。

 さらに同アンケートでは、約3人にひとりがコーディネートの画像をスマホに保存していることが判明。画像検索のサービスが、ECサイトの利用価値を高めるものになると考え、popIn Actionの立ち上げにつながった。

 また、約6割のユーザーが「売り切れだった商品の類似商品を購入したことがある」と回答していたことやコーディネート画像の充実を求めるアンケート結果も、popIn Actionの類似商品表示機能、コーディネートページリッチ化サービスの重要性を裏づけるものとなっている。

導入のしやすさもポイント popIn Discoveryとの併用でさらなる効果も

 サービス提供にあたり、同社がいちばんこだわったのは導入のしやすさだ。ECサイト側で必要になる作業は、データフィードの連携とタグの設置のみ。データフィードは、既存のGoogleやCriteoのデータフィードをそのまま転用可能だ。タグについても行動履歴を扱わないサービスのため、わずかな手間しかかからない。フロントエンドのデザイン調整はすべてpopIn側で行う。

「既存のレコメンドツールのリプレースではなく、プラスオンでサービスを使っていただくことで、売り上げの最大化に繋がると考えています」(吉岡氏)

 なお、popIn ActionのサービスはpopIn Discoveryに毎月一定額を広告出稿することにより、無償で提供を受けることもできる。

 popIn Discoveryは、法人運営かつ100万PV以上のメディアにのみ提供されており、ブランド毀損のリスクがない。また、ユーザーをリターゲティングする広告配信を行わないため、90%以上が新規ユーザーとなることを強調しながら、吉岡氏は次のようにアピールした。

「popIn Discoveryに広告出稿していただくことで、毎月定量的に新規ユーザーを送客します。全体の広告予算の一部をpopIn Discoveryにアロケーションしていただければ、popIn Actionのために新たな予算を取る必要もありませんし、もちろん広告効果も期待できます。新規ユーザーの送客からコンバージョンレートや購入単価の改善まで、一気通貫でご支援が可能です。2つのプロダクトを組み合わせてご利用いただくことで弊社のバリューをより感じていただくことができると思います。この提案は弊社にしかできません」

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ミキハウスの導入事例と成果

 セッションの後半では、popIn Actionを導入したミキハウスの通販事業部マネージャー 楠氏とのトークセッションが展開された。

 ミキハウスが同サービスを導入した理由について、「1万点以上の商品があるなか、UI/UXをどれだけ改善しても、なかなかお客様が利用しやすい環境を作れないという課題があり、画像認識が解決になるのではないかと考えた」と楠氏は語る。

三起商行株式会社 通販事業部マネージャー 楠哲浩氏
三起商行株式会社 通販事業部マネージャー 楠哲浩氏

 また、吉岡氏が前半で強調したように「導入にはほとんど手間がかからなかった」と楠氏は続ける。導入にあたりKPIを明確にする必要があったが、これについては「Google Analyticsのどのパラメーターで情報取得ができるか、吉岡さんと相談しながら進められた」と振り返った。

 同社の9月の実績では、popIn Actionを経由してコンバージョンしたユーザーが、通常の約4倍に上っているという。

「告知もしていないのに導入翌日から利用するユーザーが多く、ユーザー自身が自発的に触っていくような機能なんだとわかりました。それも導入して良かった点のひとつだと思っています」(楠氏)

 吉岡氏によると、popIn Actionを提供しているすべてのサイトのなかでも、ミキハウスがいちばん画像検索の利用者が多いという。楠氏は、「商品を探すのに時間がかかるというサイトの課題に対し、精度が高いpopIn Actionの類似検索が適切なソリューションになっている」と語った。

「たとえば、赤色の商品で検索したら赤色しか出ないわけではなく、画像のモチーフなどもちゃんと見てくれて、同じブランドの商品が出てくる。自分が興味を持ちそうな商品がちゃんとレコメンドされるなという印象があります」(楠氏)

 また、商品詳細ページでは、UIを阻害しない形でレコメンド商品が表示されるため、ユーザビリティ向上についても実感できたという。

アップロードされた画像から見えてくるもの

 続いて吉岡氏が、ユーザーによるアップロード画像の内容について問いかけると、楠氏は次のように印象を語った。

「全然関係ない画像を遊びでアップするユーザーもいるかなと思いましたが、わりと皆さん、真面目に弊社の製品をアップしてくれていました。弊社独自の傾向としては、ラッピングやギフトボックスの画像があることです。売り上げの約4割がギフトなので、おそらくギフトをもらった人がお返しのために、商品の価格を調べるといった使いかたもされているようですね」

 さらに、「中国語が写っている画像も少なくない」と楠氏は続ける。ミキハウスは中国での人気も高く、ECサイトの多言語対応も行っているが、アップロード画像にもその傾向が現れているようだ。

 これを受けて、吉岡氏は「画像認識のソリューションは、言語を問わないところがすごく強い」と語る。言語の問題でテキストを読めない海外ユーザーでも、画像をアップロードして商品を探し、購入することができるのが画像検索の強みだと強調した。

 また、楠氏が「画像認識をはじめとする、ECのユーザビリティが進んでいる中国のユーザーにとっては、違和感なく使えるサービスなのでは」と提起すると、吉岡氏も同意しながら「popIn Actionの裏側で動いているシステムはバイドゥのものです。中国のECの技術や知見を日本のeコマースに提供できるのも、弊社の価値だと思っています」と語った。

 最後に吉岡氏は「画像認識AIソリューションの提供を始めてまだ半年程度ですが、約1年前に大阪支社を設立したこともありますし、今期・来期で関東に限らず関西にも一気に広げていこうと考えています」と抱負を語り、セッションを締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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