「今ある在庫から利益を作る」考えかたで、不要なものを仕入れない
瀬川氏は、「FULL KAITENが『過剰在庫』に分類したSKUの合計金額が多ければ多いほど、宝の山がある」という。『過剰在庫』をさらに細分化して見ると、もともとは『フル回転』ステータスだったのに『過剰在庫』に転落したSKUを抽出できる。こうしたSKUには、次々に投入される新商品が前面で大々的に露出される半面、販促が手薄になってしまったために売れなくなった商品もあり、売り方を工夫することで販売を改善できる可能性が高いという。
「この手の過剰在庫は、掘り起こしてきちんと販促をかけると値引きをしなくても売れていきます。つまり、利益を増やすことができます。たとえば広告を出す、ポイント優遇をする、または商品の特集を組むといったことをすると効果的です」(瀬川氏)
『過剰在庫』のなかには、もとは『不良在庫』だった商品や、ずっと『過剰在庫』のままの商品も存在する。瀬川氏は、「これらは、タイムセールなどを行うことで動かしていくことができる」という。さらに「不良在庫に分類されている商品についても、大きめのセールに出したり福袋の商品にしたりするといった施策で、在庫をキャッシュに変えて倉庫・保管コストを圧縮することが可能だ」と述べた。今ある在庫をSKUごとに見極め、有効活用することで無駄をなくし、売上・利益の増加につなげることができる。それをAIで実現するのが、FULL KAITENというわけだ。
FULL KAITENでは、SKUごとに売り切るまでに何日かかるかの目安も算出することができる。販促をかけた結果どれくらい売れたのか、成果も参照することができるため、販促施策(在庫削減施策)の企画から実行、結果の振り返りも一気通貫で行うことが可能だ。実際に、FULL KAITENの導入からわずか9ヵ月間で全在庫を約40%削減することに成功した企業や、不良在庫を60%カットすることができた企業、在庫数は変えずに売上を2倍にできた企業もあるなど、大きな成果が生まれている。
「商品ごとに在庫リスクを可視化し、それに応じて販促施策を打っていくことで売上増加と在庫適正化は両立できるのです」と語る瀬川氏は、最後にフルカイテンのミッションと今後の夢を語り、講演を締めくくった。
「フルカイテン株式会社は、ミッションとして『不要なものを作る必要がない社会』の実現を目指しています。現代社会は、ものを作るときも廃棄するときも資源を使っています。FULL KAITENによる在庫問題の解決を通して、廃棄や資源の問題に何かしらの貢献ができればと考えています」(瀬川氏)