店頭商品のQRコードから最適なページへ誘導「ZETA CLICK」
では、透明性を担保した情報提供でユーザーの買い物を手助けし、CXの質を高めていくために、今どのような取り組みが進んでいるのだろうか。このほどZETAがリリースしたオムニチャネルソリューション「ZETA CLICK」は、その最新の打ち手と言える。「ZETA CXシリーズ」のひとつとしてユーザーにはもちろん、ブランドそしてリテールにもメリットが大きい仕組みであり、すでに同シリーズを導入している企業にとっては、蓄積した情報を資産としてすぐにでも有効活用することができる。
「ZETA CLICK」について、山崎さんは「“オンデマンドリダイレクトマーケティング”を実現するもの」と説明する。簡単に仕組みを紹介すると、リダイレクトURL を埋め込んだQRコードを商品や店舗ごとに発行し、来店した顧客がそのQRコードを読み込むと、アクセスした瞬間に最適なページへと誘導するものだ。自社ECサイト内の商品詳細ページ、レビューページ、あるいはFAQページやクーポンのページなど、コード自体に改変を加えずに誘導先を変えることができる。
QRコードなどからメーカーサイトなどを表示させる仕組みはすでにあるが、あくまでリンク先は固定されている。「ZETA CLICK」はその点、DMPやMAと連携することで、アクセスしたユーザーによってページを変えたり、その瞬間の特売価格やクーポンを表示したりすることができる。パーソナライズやダイナミックプライシングが自由自在にできるのだ。
こうした発想は、海外出張で視察を重ねる中で、欧米ではクリック&コレクトがかなり定着していることや、プライスタグから固定のURLではあるが製品の仕様や情報を見られるページにアクセスできるという光景を直に目にしたことから、それを発展させてダイナミックなURLにリダイレクトすること、またその流れでECに誘導するといった着想を得たことがきっかけだと言う。
「ショールーミングという言葉もありましたが、今や店頭で実物を見て、その場でAmazonなどのレビューを確認して価格を比較、ECで決済してしまうケースは日常的に起きています。欧米の小売店の一部においては、自社サイトに誘導しているだけ善戦していると思います。ただ、固定URLだと当然ながら柔軟性がなく、個々のユーザーのニーズに応えることもできません。これを発展させ、オンラインならではのパーソナライズやダイナミックプライシングなどを持ち込んで、オフラインである店舗が売上を逃さない方法はないか……と考えて浮かんだのが『オンデマンドリダイレクト』の仕組みでした」
根底にあるのは、やはり前述の「透明性」の観点だ。ECは検索性や商品の網羅性などから、ほしい商品を入手するのにとても便利だが、「実物を見られない/触ることができない」点はどうしても店舗に劣ってしまう。そこでユーザーは店舗に足を運ぶわけだが、そこで調べるのはオンラインのレビューだ。ならば、ユーザーの透明性へのニーズを満たし、満足いく買い物を手助けしながら、かつ他社への売上流出を防ぎたい。それらを両立したのが「ZETA CLICK」なのだ。
「ECを含め、オンラインでできることはますます広がっています。一方、オフラインである店舗のデジタル化はまだまだ発展途上です。それなら、オンラインのテクノロジーをオフラインに持ち込めば、もっと双方の融合が進み、店舗スタッフの販売支援にもなります。たとえば店内でマネージャーが『ZETA CLICK』の活用状況を把握し、次々と商品ページを確認している顧客がいたら、適切なスタッフに情報を伝えたうえで接客を促すこともできます。そのままECで決済し、配送手配をしてもいいし、実物を持ち帰ってもいい。ECと店舗は相反するものではなく補完関係で、それを推進するのが『ZETA CLICK』だと考えています」