多言語ウェブサイトには日本語サイトとは違った視点で外国人好みのコンテンツを多く掲載
――今や伊豆・河津の桜祭りといえば、有名な桜祭りのひとつです。外国人にも知られるところとなり、河津桜を見に多数の外国人客が訪れているようですね。
おかげ様で河津の桜祭りには、2月上旬から3月上旬の期間で約100万人の人が訪れ、外国人比率は約30%近くです。3割までいくと、見た目としては外国人ばかりいるような印象さえ受けます。旅館を経営しているのですが、お客様を駅まで迎えに行くと、もう外国人だらけという印象です。
この時期は、ちょうど中国の春節の時期に当たるので、中国人、台湾、香港などの中華圏のお客様が多く訪れます。最近はタイ、シンガポール、ベトナムなどの国のお客様も増えてきました。日本人のお客様は桜が満開の時期を狙っていらっしゃいますが、外国人のお客様は満開前、桜が咲き始めた頃でも訪れてくれるので、運営側としては非常にありがたいです。お土産店なども潤っている様子が伺えます。
――インバウンド対策を本格的に始めたのはいつからですか?
本格的に始まったのは2009年あたりでしょうか。それ以前は、町全体としてはインバウンドの受け入れはそこまで積極的ではなかったんです。私の旅館がある七滝エリアは、たびたび外国人が訪れていたので、七滝エリアだけで英語の研修会や英語メニューを作るなどして、受け入れ態勢は整えていました。次第に、「それならば町全体でインバウンド対策をしましょう」という流れができて、まず英語と繁体字のウェブサイト制作を行いました。
河津観光HPでは、TOPページで丁寧に「河津エリア」の説明を記述しています。羽田空港、成田空港からの距離感などが地図でわかるようにもしています。ウェブサイトを制作し始めた頃は、まだ外国人には「河津桜祭り」は有名でなかったので「桜祭り」の説明を入れ、河津の特徴をはっきり見せるように心がけました。温泉の入りかたについてもご存じない外国人の方が多かったので、記載しました。これは「外国人の温泉マナーが悪いんじゃないか」と不安を持つ観光施設の方も多かったので、施設側の不安を解消する意味でも重要なコンテンツだと思います。さらに、河津エリアは多数のハイキングスポットがあります。外国人はハイキングする方が多いと聞きましたので、ハイキングスポットも紹介しました。
その後、2016年には韓国語、簡体字、タイ語とウェブサイトの言語も増やし、スマートフォン化もしました。これと同時に英語、繁体字、簡体字、韓国語、タイ語と5言語のパンフレット作製も行い、さらにインバウンド向けツールが増えました。パンフレットでは、「コンテンツを詰め込みすぎて見づらい」とのコメントがあったので、「桜」「自然」「温泉」「体験」とカテゴリー分けをし、すっきりシンプルな作りにしました。
食事について、河津は海が近くにあるので海鮮を推したいところですが、他地域と差別化できるよう「わさび丼」を出したりしています。また、各カテゴリーすべてにQRコードを付け、ウェブサイトへ誘導する流れも作り、より詳しい内容はウェブへという方針にしました。パンフレットのような紙媒体はスペースに限りもありますし、こまめに情報を修正するのは難しいですから。