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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

売れる越境ECサイトへの道

価格を下げる前に価値を伝えよう 越境ECにおけるユーザーと商品を繋ぐコンテンツ作りのコツ


事例2)剣道の部具を求めている人はどうなりたい人?

 次の事例は、剣道の防具や袴、竹刀などの武具を、20年以上に渡って海外向けに販売しているTOZANDO SHOPというサイトです。日本の職人が作った剣道の防具は海外製のものと比べ質が高いことから、世界中の剣道ファンから愛されているメーカーです。

 剣道の防具は、一つひとつ作り方や素材が異なっています。しかし、従来のTOZANDO SHOPのサイトでは、それぞれの商品詳細ページだけを見ると、価格ばかりが強調されていました。つまりユーザーは、この防具がなぜ良いのかはわからないけれど、TOZANDOの品質だから間違いないだろうという理由で購入していたようです。ただこれだと、TOZANDOの良さやブランドを認知していないユーザーを購入に結びつけることはできません。

 そこで、一般的な検索ワードで流入してきたユーザー向けのLPを用意しました。海外の剣道フォーラム(掲示板)を調査していたところ、多くのユーザーが剣道を練習するうえで、「籠手や面への衝撃による痛みや、剣道特有の臭いをどうにかしたい」と感じている人が多いことがわかりました。

 そこで、「痛い、臭いのは嫌だけど剣道が強くなりたいイギリス人で、段位は初段~2段」という人物をターゲットとして設定しました。

 ちょうどTOZANDOが取り扱う剣道防具の中に、ユーザーの悩みを解決する衝撃の吸収力を持ち、脱臭力が高い高性能な剣道防具があったので、LPではこの商品を訴求することにしました。

 上の図にあるように、ユーザーの悩みや課題を先にリストアップし、それぞれの課題を解決する手段として最適な剣道の防具があることを記載しています。

 痛みを感じる面や小手が当たる部分を補強し、痛みを感じにくくする。さらには乾燥しやすい設計で、臭いがこもりにくくなっているなど、ユーザーが潜在的に抱えていた悩みや願望に先回りして答えることで、他のアイテムとの優位性も伝えることができます。

事例3)わざわざ日本から購入して、日本酒を飲みたい人はどんな人?

 最後の事例は、「SAKE NETWORK」という日本酒専門の越境ECサイトです。このサイトは独自のルートで、海外ではなかなか手に入りにくい日本酒を欧州に販売しています。

 しかし、とても素晴らしいお酒を用意しているのに、従来のSAKE NETWORKのサイトはお酒が並んでいるだけのシンプルなデザインでした。残念ながらこれだと、どのお酒を選べばいいのかわかりません。

 はじめて訪れたユーザーの中には、純米吟醸と醸造酒の違いなどがわからない方も多いでしょうし、すでに日本酒の知識があるユーザーであっても、もちろんすべての銘柄を把握しているわけではないでしょう。このサイトからユーザーがお酒を選ぶときには、価格やラベルのデザイン、説明文だけを頼りにするしかありません。

 なにより、海外からわざわざ日本酒を購入するとなると時間もお金もかかるので「失敗したくない」という気持ちが強くなり、なかなかユーザーは購入に踏み切れない状態でした。

 そこで、そんな「失敗はしたくない」けれど、「友人や家族と日本酒を飲みながら語りたい」ユーザー向けに、日本酒にまつわるアワードを受賞したアソートセットを開発し、アワードコンテンツを作って訴求することにしました。

 一つひとつのお酒の説明も重要ですが、これらのお酒をアワードで受賞したお酒としてラベリングすることで、ユーザーの不安を払拭し、購入に結びつけることができました。

 今回例に挙げた化粧筆や高機能剣道防具、日本酒は、直接記事のLPに遷移させるほか、各商品ページに遷移したユーザー向けのリマーケティング広告の遷移先として活用することでも、ユーザーの背中を押すことができています。

価格を下げる前に価値を伝えよう

 国内向けECでは商品の価値を訴求するということは当然の施策ですし、多くの方が実践していると思います。しかし越境ECとなると、言葉やユーザー理解の壁を理由に、価値を伝えることをないがしろにしてしまっている企業が多いように感じます。

 その商品に関する口コミサイトなどがあれば、海外でよく質問されているトピックに目を通し、彼らが悩んでいることなどを把握しましょう。

 既に海外のお客様の購入実績があれば、お客様になぜ購入したのか、商品を手にして何を実現したかったのかをヒアリングするというのもひとつの手段です。

 世界的に知られているブランドであれば別ですが、海外のユーザーに知られていないプロダクトを販売する時は、ユーザーと商品を繋ぐコンテンツ作りを特に意識していただければと思います。

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この記事の著者

世界ヘボカン株式会社 代表取締役 徳田祐希(トクダユウキ)

「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションのもと、デジタルマーケティングを活用した日本企業の海外進出支援・販路拡大を多国籍メンバーと共に14年以上にわたって行い、年商30億→500億に売上を伸ばすなど、数多くの実績を残す。海外ウェブマーケテイングに携わる傍ら、YouTube で年間100本以上の動...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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