事例1)化粧筆を求めている人が実現したいコトとは?
それでは具体的な事例を用いて説明していきましょう。越境ECサイト「A-Janaika-Japan(以下、AJJ)」では、広島県安芸郡熊野町で生産されている熊野筆を販売しています。このサイトのターゲットは、どういった人なのでしょうか。
熊野筆は、肌ざわりがしなやかで化粧ノリが良くなることから、日本国内だけでなく、世界でも多くのファンを持つ商品です。
熊野筆を探している人の特徴についてAJJを運営している方に聞いてみると、もっとも多いのはアメリカ人女性(と思われる名前の方)が自分用に約200ドルのセットをよく購入されているということでした。
この化粧筆は顔の様々な部位の化粧に対応できるよう、様々な形やサイズが販売されており、それぞれのユーザーの悩みに応えるアイテムを揃えています。そのため、セット購入だけでなく、高級なアイテムを一点買いするユーザーも時折いるようです。
アメリカ人女性で美意識の高い方と一言で言ってしまうとそれまでですが、さらに分析してみると、下記のようなふたつのケースが存在することがわかりました。
- 熊野筆が良いらしいということを知り、セットを買ってみるユーザー
- 目のクマやほうれい線など、すでに悩みを感じており、解決策を探しているユーザー
1のユーザーについては、複数ある化粧筆の中からその選び方を伝えるコンテンツを用意し、価格帯や知名度、アイテムの特性などから、オススメの化粧筆を提示することで購入に導くことができます。
2のユーザーには、悩みや願望に対し、どの化粧筆が最適なのかを伝えるコンテンツを作成するのがよいのではないか、という結論に至りました。
ユーザーが実現したいコトは、化粧筆を買うことではなく、それぞれが抱えている肌の悩みを解決して、より美しくなりたい、ということなのです。
上記をふまえ、ユーザーの抱える肌の悩みとそれに対応した化粧筆を紹介するコンテンツを用意しました。化粧筆を紹介するだけでなく、どのような手順で化粧をすれば悩みを解決できるかにも触れ、自分が化粧筆を使用しているシーンをより思い浮かべることができるようにしています。
このように、ターゲット像を過去の購買データから整理し、ユーザーが商品を通して解決したい「コト」の調査を進めていくと、ユーザーと商品を繋ぐコンテンツのストーリーを描くことができます。