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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

今こそ、リテールイノベーションを!

BUYからSHOPPINGへ いまECをインターフェースから見直すべき理由

体験を設計する際のポイントは「エンゲージメント」

 特別な体験の設計において、意識すべきポイントは「エンゲージメント」です。エンゲージメントとは直訳すると約束や契約となりますが、意味合いとしては、絆やつながりが近いでしょう。単なる製品の機能を気に入ってもらうだけではなく、その企業やブランドのフィロソフィー、ストーリーなどに共感し、応援してもらえることこそ、今後目指すべき顧客との関係なのではないでしょうか。

 もちろんこれはECサイトのみで実現できることではなく、店舗やSNSでの発信、ロゴ、CSR、広告などすべての活動によって形成されるものですが、今までのECサイトのデザインは、合理性や検索のしやすさに重きが置かれていました。そのため、店舗やホームページではフィロソフィーやストーリーまでしっかり体現できるよう設計されているにも関わらず、ECサイトだけは世界観が違うということが往往にして起こっています。これは非常に有名なブランドや企業でも、まだまだ見受けられます。

 どうしてこのような状況が生まれているかというと、ECと店舗でのシナジーを上手く生み出せなかったということが理由として考えられます。2014年頃から盛んに「オムニチャネル」という言葉が取り沙汰され、多くの企業がその実現に取り組みました。しかしほとんどの企業が、当初見込んでいた成果までは出すことができていないように思います。

 それには様々な理由がありますが、オムニチャネルを手段ではなく目的としてしまったから、というのもひとつの原因だと思っています。

 本来はエンゲージメントを高めるという目的があって、それを実現するUI/UXやコンテンツ、デジタルマーケティングの仕組みを構築し、いつでもどこでも買える環境を整える、という順番でオムニチャネル化が進められるべきでした。

 しかし先に購買チャネルのみを整備してしまったため、シナジーは生まれず、依然としてネットで買う人はネットでしか買わない、店舗で買う人はネットでは買わないという状況になったのです。こうしたことから、ネットと店舗間での断絶があるとされ、それぞれで最適な施策が取られるようになったのが現状だと思います。

 しかしこのままでは、豊富な品揃えと低価格を実現しているAmazonなどのモール型のECと真っ向から勝負することになります。エンゲージメントを考えたうえで、あえてよくあるECサイトのデザインにしているのであれば何も言うことはありません。ですがもし、「ECサイトとはこういうイメージだから」という理由だけでサイトのデザインを考えているのであれば、今一度ECサイトの役割について、エンゲージメントを軸に考え直すことも必要ではないでしょうか。

次のページ
今こそ実店舗に学ぼう 新しいECサイトのカタチを考える

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この記事の著者

株式会社エスキュービズム 代表取締役社長 薮崎 敬祐(ヤブサキ タカヒロ)

1979年兵庫県生まれ。東京大学大学院経済学研究科修了後、リクルートに入社。新卒および中途採用を中心にした人材サービスのソリューション営業部門を経て、2006年5月のエスキュービズムを設立。テクノロジー、小売、製造、農業、ヒューマンキャピタルなど広範な領域に事業展開。2018年はテクノロジー領域に再...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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