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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

今こそ、リテールイノベーションを!

BUYからSHOPPINGへ いまECをインターフェースから見直すべき理由

今こそ実店舗に学ぼう 新しいECサイトのカタチを考える

 それでは、今までにないECサイトのカタチとはどのようなものでしょうか。もちろん目指すべきゴールによってそのカタチも異なるため、一概には言えません。ですのでここでは「こういうECサイトがあってもいいんだ」という気づきを得ていただければと思います。

 今ECサイトでもっとも欠けているのは、エンタメ感やワクワク感だと考えています。店舗ではウィンドウショッピングのように、ただ見て回るだけで楽しむことができ、かつ「気づいたら買っていた」というような衝動買いやついで買いなどが起こるような設計になっています。まさにSHOPPINGという言葉の通り、「買うまでの体験」を意識した店舗づくりが行われているのです。

 一方ECサイトでは、いかに合理的に買えるか、いかに「買う(BUY)」を効率的に発生させるかに企業が注力しているように見えます。

 2018年6月に、Instagram上の投稿からそのまま商品を購入できる「Shop Now」が日本でもリリースされたことが話題になりました。この例のように、今後は顧客とのあらゆるタッチポイントがさらにコマースと結びついていくと思います。AI、AR、VR、動画、IoTなど、急速に発展しているテクノロジーを活用することで、顧客と今まで以上にリッチなコミュニケーションが可能となることは間違いありません。すでにライブコマースや動画コマース、VRコマースなど、新しいECの取り組みが始まっているのです。

 それでは新しいインターフェースについて具体的に考えてみましょう。たとえば自社のECサイトを「画面上のコンテンツを動画で構成する」という動画コマースサイトにしてしまうのはどうでしょうか。つまり、顧客が動画視聴を目的でサイトに流入し、動画で気になった商品を購入する、という行動設計です。こうしたサイトは、特に化粧品や雑貨などの衝動買いを促せる可能性もありますし、その場合のインターフェースは、YoutubeやC CHANNELなどが参考になるかもしれません。

 また他にも、VRの技術を活用してVR空間で実店舗を再現すれば、いつでもウィンドウショッピングのような体験を提供することができます。これによって「近くに店がない」という理由で来店が難しかった地方や海外などのお客様を新しく取り込むことができるかもしれません。こんな風に、楽しみながら何かを体験できるようなECが、いま求められているように思います。

 今までのECサイトは非常に合理的な世界だったため、どういう商品の見せ方をして、これくらいの広告を出せばいくら売れる、ということがある程度予測できました。しかしこれからはECにも、エンターテイメント性やどんな体験を提供してくれるブランドなのか、といったことが求められるでしょう。そうしたときに、今のECのインターフェースから脱却することも、ひとつの選択肢として持っておくべきだと思います。

 ではどうやって新たなECのインターフェースを創るのかといえば、実証実験を繰り返していくしかありません。かつてのモール型のEC事業者が試行錯誤の末に今のインターフェースを作り上げたように、新しいECのカタチを生み出すためには、挑戦と失敗が必要となるでしょう。

 日本国内のEC化率はおよそ6%弱と言われています。この数字は現状のECの壁を示しているとともに、これからもっと発展していく余地があることも表しているように思います。まだまだ、十分に挑戦する価値のある領域ではないでしょうか。

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この記事の著者

株式会社エスキュービズム 代表取締役社長 薮崎 敬祐(ヤブサキ タカヒロ)

1979年兵庫県生まれ。東京大学大学院経済学研究科修了後、リクルートに入社。新卒および中途採用を中心にした人材サービスのソリューション営業部門を経て、2006年5月のエスキュービズムを設立。テクノロジー、小売、製造、農業、ヒューマンキャピタルなど広範な領域に事業展開。2018年はテクノロジー領域に再...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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