いかに記憶に残る体験を作り上げるのか
CX向上を企業レベルで実行するために、いかに仕組みにするか。そのためには、チャネル間を移動する顧客のカスタマージャーニーを描き、そこにどのような体験を提供するかを添えていきます。その前段階で、どのような体験をしたら顧客が喜び、どうやったらその体験を提供できるかを見つける必要があります(カスタマージャーニーについては次回以降でお伝えします)。
自社にしか提供できない、顧客体験。こう言うと「差別化」という言葉を持ち出す方が少なくないのですが、これがくせものです。口で言うほど簡単ではなく、すぐにできることなら誰もがやっているはずです。そして、この話題になると必ずといっていいほど出てくるのが、Apple社です。でももう、現実から目を背けるのはやめましょう。Appleを持ち出して「うちはなー」と言っていても始まりません。とても参考にはなりますが、Appleは世界でも稀有な企業です。
一方の小売業は、今ではどこの店でも、ECでもほぼ同じ物を販売しています。「うちは違うよ!」という方も、よく自社の商品を見てください。パッケージが違う、色が違う、形が違う。それは本当に差別化されているのでしょうか? 実は、顧客の買う理由は競合他社と同じかもしれません。
でも大丈夫です。社内をよく見てください。差別化できることは必ずあるはずです。ポイントは、製品そのものではなく顧客体験に影響する会社のソフト面です。
顧客が喜ぶ×自社の強みを活かせる×他社ができない(やってない)
これが顧客体験のスイートスポットです。