自社ECに来ている越境ユーザーが買いやすい仕組みを、タグ1行で
森野(運営堂) 今日は越境ECのことについて、お聞きしたいと思います。仲里さんはいつごろから越境ECに関わるようになったのでしょうか?
仲里(ジグザグ) 2004~2007年までネットマーケティングの会社にいて、2010年から2015年まではグロービッツという海外配送サービス会社の日本法人の代表をしていました。グロービッツはアメリカやドイツ、コリアにも支社があったのですが、そのうちの日本拠点を僕がずっと回していた感じですね。
森野(運営堂) ということは越境ECという言葉が出てくる前からなので、キャリア的にはだいぶ長いんですね。越境ECは「モールに出しましょう」という話になりがちで、それだけでは、次のアクションが起こせず困っているネットショップの方も多いです。越境ECの現状を教えていただけますか?
仲里(ジグザグ) ご存じのように、国内ECだけでも運営するのにはものすごくタスクがあります。それが越境になった瞬間に、さらに3倍くらいに増える。インターネットによって情報の格差はなくなっているんですけれども、言語、海外決済、海外物流の壁は厚いですし、加えてシステム、人材、オペレーションもハードルが高いです。そのため、日本のネットショップを見にきている越境ECユーザーたちがいるにもかかわらず、買えないという状況が続いている。そこを僕らは、変えていきたいなと思っています。
やりかたとしては「海外のモールに売りに行きましょう」ではなく、今皆さんが持っていらっしゃるECサイトに、越境ECユーザーに見に来てもらう、すでに見に来ている越境ユーザーが買えるようにするという方法で支援しています。
森野(運営堂) 越境ECをやろうとすると、まずは翻訳をどうするんだという話になります。たとえばアパレルECでは、すぐ売り切れてしまうので翻訳した意味がないというケースもありますが、向いている業種はあるのでしょうか?
仲里(ジグザグ) 向いている業種は、「翻訳しなくてもいい商品を扱うお店」ですね。たとえば化粧品や食品など成分の明記が必要なもの、ものすごく使うのが難しそうな製品であれば、言葉による詳細な説明が必要ですが、ファッションのほか、越境ECで人気のフィギュアや釣り具のようなものも含め、大概のものは画像で見ればわかります。言葉による説明が必要なのは、サイズと素材ぐらい。それも、右クリックでGoogle翻訳できるので、それで十分足りてしまうんですね。実際、海外のECサイトを見に行くと、スペックくらいしか説明していないところも多いですよ。日本のECサイトがいちばん、商品詳細を一生懸命書いてるんじゃないかな。でも、越境ECユーザーはほとんど読んでいないと思います。
森野(運営堂) なるほど、そもそも読んでいないのであれば翻訳に頭を悩ませる必要はないですね。写真や動画である程度伝える工夫をすれば、問い合わせ対応などの手間も省けます。翻訳というか、言語が必要なのは決済画面や住所など、いわゆるカートまわりの部分だけかもしれませんね。
仲里(ジグザグ) オペレーションまわりやメールのやりとりは、言語が重要な部分です。とはいえ、多くのECシステムがその部分の翻訳が難しい仕組みになっているので、僕らはそれをタグ1行で全部解決するということをやっています。