成長企業セールス・フォースのコマースソリューションは
パーソナライズと自動化がキーワード
――「Commerce Cloud」が「Demandware」だった頃(※)から、レスポンシブを取り入れたユニファイドコマースを掲げ、バージョンアップを続けるクラウド型のコマースソリューションでした。セールスフォース傘下に入り、どう変わったか教えてください。
セールスフォースが素晴らしいのは、「Commerce Cloud」「Marketing Cloud」「Service Cloud」をつないで利用できることです。小売事業者は顧客とインタラクティブにコミュニケーションし、パーソナライズされたショッピングジャーニーを、オンラインでも、モバイルでも、実店舗でも提供することができます。
ブースで事例を紹介している高級家具店「Design Within Reach」は、カスタマーサポートのため「Service Cloud」の利用から始め、いまでは「Marketing Cloud」「Service Cloud」も利用し、ビジネスを拡大しています。
※「Demandware」を提供するデマンドウェア社を、セールスフォースが買収し、2016年9月から「Salesforce Commerce Cloud」として提供している。
――日本でもAIは注目されていますが、コマースの分野ではまだ実用に至っていないと言っていいと思います。Commerce Cloudではすでに、アインシュタイン(セールスフォース社のAI)がレコメンド等で利用されているのは素晴らしいことですね。
アメリカの小売業者の間でも、AIはバズワードです。このイベントの展示を見て回ってもわかりますが、2018年はここ5年間でいちばんホットかもしれない。そんななか、セールスフォースの特徴は、AIを実用的なやりかたで取り入れようとしていることです。
私たちは、顧客とブランド、そして商品をコネクトするためにアインシュタインを用います。ひとつめの機能に、顧客の行動履歴をもとにしたレコメンド、もうひとつ、これは2019年になりますが、「サーチ(検索)」にAIを用いた新しい機能を追加予定です。
サーチは、3つの機能があります。まずは、個々の顧客がもっとも関心を持つであろう商品を、画像を表示して見つけやすくするというもの。ふたつめは、サーチボックスにキーワードの一部を入力すると、「この商品だろう」と、アインシュタインが考えサジェストする機能です。そして3つめは、今回のNPFにあわせて発表した、類義語辞書の機能です。顧客が商品検索の際に用いるであろうキーワード(生地、色、スタイルなど)を考え、人が登録するのが従来でしたが、アインシュタインが自動で行います。
AIによってcreepy、顧客が違和感を覚えるような動作を行わないこと。このバランスが大事です。AIをコマースで活用する場合、これが非常に重要です。売り手には、自動化によって生産性を高める支援を行う。消費者には、パーソナライズでスムーズな買い物体験を提供する。このふたつが重要だと考えています。