「在庫リスク」なしで売り上げを伸ばせる
――昨今では、”物流崩壊”なども取り沙汰され、効率的な配送システムが社会的にも求められているかと思います。ドロップシッピングは、卸売企業を通さずに顧客へ配送するという点で、一つの解決法とも言えるかと思います。まずは、御社のドロップシッピング事業について、ご紹介をお願いします。
実藤(もしも):当社はメーカー約1,200社から商品提供を受け、合計約40万商品をデータベースに登録しています。個人向けサービスの「もしもドロップシッピング」では、その40万点から好きな商品を選んでクリックしていくだけで、個人の方でも簡単に自分のネットショップを立ち上げることができます。消費者がそのショップから注文をすると、当社を経由してメーカーに注文情報が伝わり、メーカーが商品を直接、消費者に送るというのがドロップシッピングの流れです。
事業者向けのサービスの「TopSeller(トップセラー)」は、すでにネットショップをもっている店舗が対象で、自社ショップに当社の商品を追加して、商品数を増やすことができます。
どちらも基本的な流れは同じですが、個人向けのもしもドロップシッピングでは、顧客対応も当社が代行するほか、ショップ運営や商品の販売方法などのサポートも行います。「もしも大学」という教育事業も行っていて、個人のショップオーナー向けにセミナーを開催したり、オフィスに来ていただいてノウハウを教えたりしています。
――ドロップシッピングサービスの最大のメリットはなんでしょうか?
実藤:ショップオーナーにとっては、在庫リスクを持たずに売り上げを増やせることです。またメーカーとの交渉や仕入れ、買い取りのための資金や商品保管スペースの用意、受注後の配送といった手間もかかりません。メーカー側は、当社のデータベースに商品を登録するだけで、手間をかけずネット上の販路を拡大できるメリットがあります。
モデル全体のメリットとしては、物流の効率化があります。通常だとメーカー→卸業者→小売店→消費者と何度も物流が行われますが、ドロップシッピングであれば基本的にはメーカーから消費者への1回の物流で済むので、全体のコスト減になります。
――物流は昨今、大きな話題となっていますが、当初からその問題は意識されていましたか?
実藤:物流効率化はドロップシッピングの基本の部分なので、そのメリットは意識していましたが、物流業界がこれほど大変な状況になるとは思っていませんでしたね。もともとは、アメリカで当時から普及していたドロップシッピングを日本でも始めようと思ったのが、もしもドロップシッピング開始のきっかけです。私は大学時代にオイシックスでインターンをして以降、一貫してEC関連の仕事をやってきました。豊田はインターンの同期です。当時は楽天もアマゾンもあまり普及していない時期でしたが、オイシックスでの経験から、ECの大きな可能性を感じることができました。
――サービス開始から11年が経ち、現在の利用者数や利用企業はどのくらいになりましたか。
実藤:もしもドロップシッピングは順調に伸び続けていて、現在の利用者は46万人です。主婦やシニアの方、最近では20代の方などの利用が多いですね。「TopSeller」は1,470店舗ほどです。そのうちの900店舗様が、1月にリリースしたセレクトコースを利用しています。TopSellerはこれまで、楽天やYahoo!などのモールに出店している店舗様が対象でしたが、「セレクトコース」の新設で、BASEやカラーミーショップなどの店舗さんにも利用いただけるようになり、大幅に数字が伸びました。
豊田:セレクトコースは月額料をかなり下げたのも大きいです。これまでは25万商品を扱うことができて月約3万円というプランでしたが、セレクトコースでは扱える商品数を減らして金額を下げました。いくつかプランがありますが、商品5点までは無料、300点までは月額480円です。この300点コースの利用が、現在最も多いです。