ECサイトに重要なのは強みの活用。
カート放棄対策だけはきちんとやろう
Q.ECサイトのリニューアルを検討しています。留意すべき事項などあれば教えてください。
ECサイトを構築・リニューアルする際、何より重要なのは自分たちの強みを活かすことだと思います。みなさん、Amazonを利用している時を思い出してほしいのですが、商品を探す際にカテゴリー一覧から見ますか? ほとんどの方が検索しますよね。だとすると、Amazonにとっては検索機能が最も重要だということになります。数百万点以上の商品を掲載しているサイトでカテゴリーから商品を探す人はそれほどいない。そのために、検索結果の精度向上やサジェスト機能の充実など、検索機能をいかに最適化できるかに集中している。おそらくですが、Amazonのヘッダーやフッターをリニューアルしたところで、売上はそれほど変わらないでしょう。
また、普通の話ではありますが、やはりカート放棄対策はきちんとやるべきです。商品をカートに入れてから離脱するユーザーの割合は、概ね50%だと言われています。これはつまり、購入へのハードルが途中で上がってしまったということです。いざ買おうと思ったら、送料がわからないとか、到着日時が明示されていない、名前と住所以外にもいろいろなことを記載しなければいけなくなってる、といったことがあるとユーザーはとても迷うし、「面倒くさいからやめた」となってしまう。これは非常にもったいないですよね。離脱率50%を仮に30%に改善できれば、単純計算で売上は140%になる。ここは絶対直したほうがいいですよね。
ECに理解のない会社は先がない? 社内調整の重要性
Q.ECの拡大についてトップの了承がなかなか得られず、周囲を巻き込むことができずに困っています。
トップがウェブへの理解がないという話、よく聞きます。これは少々過激な言いかたになるかもしれませんが、そういった会社は先がないので辞めたほうがいいです。ぜひ、オイシックスに転職しましょう(笑)。これは本当にそうです。
私自身も、これまでの会社員生活でたくさん失敗しましたが、それに対して、トップからネガティブなことを言われた記憶はありません。それは、ECの重要性を理解しつつ、自社サイトの売上が悪いことに大きな危機感を抱えていて、スキルを持った社員に対して「任せた、好きにやれ」と言える覚悟ができていたからだと思います。その覚悟ってすごく大事で、覚悟がないトップの下でやるのはやはり難しい。
後から聞いた話では、西井は勝手なことばかりやる、迷惑だとかいったことは、トップ以外からはいろいろと言われていたようです。 そういった経験から振り返ると、多少社内政治的になってしまうかもしれませんが、トップと握ったうえで物事を進めるのも重要でしょうね。中途半端にいろいろなところの意見を取り入れ過ぎると、無難な方法に落ち着いてしまい、何の結果も出ないといったことはよく起こりますから。