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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

『売れるECサイトのすごい仕掛け』出版記念トークセミナーレポート

売上アップ、新規獲得、コンテンツマーケ。ECのイロハ、西井さんに全部聞いてみよう


 ECzine編集部が2017年3月17日に出版した書籍『ECzine 売れるECサイトのすごい仕掛け』。この発売を記念し、渋谷の書店・BOOK LAB TOKYOにて開催されたトークイベントには、シンクロ 代表取締役 兼 オイシックス CMO 西井敏恭さんがゲストとして登壇。ECに悩みを抱える来場者の質問にすべて答えてくれた。今回はその模様を前編としてお届けする。

売上アップの決め手はリピート率。2回目の購入を促す極意とは

Q.基本的な質問ですが、ECで売上を伸ばすにはどうしたらいいでしょうか。

ECにもさまざまな事業や分野がありますが、共通して言えるのは、まず現状の売上構造を分析することです。中でも真っ先に取り組むべきは、新規顧客とリピーターの構造を把握すること。たとえば1年以内に購入した方を新規顧客、2年目以降も引き続き購入した方をリピーターと定義すると、リピーターの率が50%あるかがひとつの目安となります。売上が伸びないというお悩みを抱えている方は、大体ここが50%以下であることが多いです。

なぜリピートが大事かといえば、一定以上のリピート率を保っていれば、たとえ新規顧客を獲得できなくても複利で売上が増えていくからです。ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは、創業から8年ほどかけて売上高500億円を突破しましたが、直近の決算では1年間に約200億円、売上高を伸ばしています(※)。これは、新規顧客も増えていると思いますが、何よりリピーターが多いからこそだと思います。

※編集部注:1998年設立、2016年3月期決算で売上高544億円、2017年3月期決算で売上高764億円。

その構造ができていれば、広告費をかけても伸びます。多くはその逆、新規は取れているがリピートしないという状況でしょう。毎年新規顧客を取り続けなければ成り立たないショップはかなり厳しいですから、まずは自社がどのような売上構造になっているかをしっかり分析することです。

株式会社シンクロ 代表取締役 兼 オイシックス株式会社 CMO 西井敏恭さん

Q.リピーターの重要性は理解していても、なかなか伸び悩んでいます。たとえばクーポンなど、具体的に有効な施策があれば教えてください。

どこの企業でも重視している指標として、「F2転換率」というものがあります。これは、新規顧客を2回目の購入に導いた割合を示すものです。

では、2回目を買ってもらうにはどうしたらいいのか。ひとつは、広告を実施する場合などでも、もともとリピートしやすい商材でプロモーションすること。たとえば、化粧品会社を例にした場合、美容液Aを最初に買ったお客様のデータを分析してみたら、2回目はあまり購入されておらず、化粧水Bはその逆だとした場合、広告すべき商品は明らかに化粧水Bだということがわかります。おそらく、どの業界でもそういった商品があるはずです。

皆さんもご自身の体験を振り返っていただきたいのですが、たとえば、初めて購入した商品がある程度値の張るものであっても、その体験がすごく良ければ、ブランドのファンになる確率が高まります。しかし、たとえばセール品のTシャツをたまたま購入した場合では、その確率は低くなります。それは、その体験がそれほど特別ではないからでしょう。何を購入してもらえば2回目につながりやすいのかは、おそらくそれほど難しい分析をしなくても見えてきますので、しっかり考えてみるといいのではないでしょうか。

また細かい点ですが、商品を包装する箱や紙なども重要だと思います。たとえば、化粧品のお試しセットなどが届く前は、顧客の期待値がすごく上がっている状態です。それが茶封筒やダンボールで届いたら、顧客体験は良いものでなくなってしまうかもしれない。化粧品などは、きれいになりたいと思って買っているわけですし、アパレルなどもカッコよくありたいと思って買っているわけですから、コストの許される範囲で包装紙に工夫を凝らすだけで、顧客体験は良くなるはずです。

リピーター醸成には必ずしもクーポンだけではなく、さまざまなことが考えられると思います。自社の商材に合わせ、まだまだ改善の余地があるのではないでしょうか。

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この記事の著者

渡邊 徹則(ワタナベ テツノリ)

株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。 執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。 会社概要 - seven@ver7.jp - Twitter/Facebook @brigate7

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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