ネットショップ戦国時代にSNSを使わないのは言語道断
4つ目のトピック「SNS」に関しては、両者とも導入を強く勧める。無料ECサービスの盛り上がりも追い風になり、ネットショップの数は飽和状態だ。その中で、SEOだけでアクセスを獲得し、そこからファンを作ることは難しい。そういった中での集客にSNSは欠かせない。
「ネットショップを作ったら、すぐにTwitter、Facebook、InstagramといったSNSを作るべき。投稿は、1日1回でも少ない。朝昼晩と投稿して、ファンを獲得してほしい。会員登録、メールマガジン、購入はその次のステップ。まずは、顧客との接点を増やすためにSNSを地道に運営することが大切」(星)
しかし、TwitterやFacebookは広く活用されるようになってからすでに数年経っている。サービスの黎明期に比べ、無料でフォロワーやいいね!数を増やすことは難しくなっている。TwitterやFacebook内で広告出稿をすることに対しては、どう考えるのか。
「フォロワーやいいね!数を増やす目的であれば、基本的にSNS広告はやらなくていい。アパレル・雑貨・アクセサリーといったSNS広告に親和性の高い商材は別だが、ほとんどの商材はターゲティングが難しく、うまくいかないことが多いと思う。実際、リスティング広告のほうが効果を出している」(向畑)
「ニッチな商材で属性を絞って広告を配信できるのはSNS広告の良いところ。ただ闇雲に打ってはいけない。動画広告も注目されているが、ほとんどの店舗は作る時間がない。まずは地道なSNS活動をあきらめずに行うことが大切」(星)
運用コストは積極的に自動化し、独自の集客に時間を使う
最後のトピックは、「AI・ウェブ接客・MA~テクノロジーとツール」。海外のネットショップでは、ユーザーの属性にあわせたクーポンが表示されたりと、積極的に新技術が使われている。新しい取り組みを行う外部サービスと、次々に連携をしているMakeShopとカラーミーショップだが、両者とも、闇雲に新しい技術を取り入れればいいわけではないと語る。
「複雑なシステムを使って売上を上げるよりも、注文管理や日々の運用を自動化することにこそ新しい技術を使うべき。少人数で運営する中小規模のEC事業者は、運用・管理にかかる人的コストの削減を積極的に行い、空いた時間で、SNSなど集客に力を入れては」(向畑)
テクノロジーやツールの活用により、受注管理やルーティーン業務の時間を短縮。空いた時間で、SNSやメールマガジン、サイト構成の改善に力を入れることにより、ファンを作り、独自の価値を生み出していくことが、中小規模のEC事業者にとって大切なことなのだ。結びもこの独自性の大切さに言及し、本トークセッションは終了した。
「ネットショップを作ることはどんどん簡単になるが、売れることは難しくなるだろう。同じ八百屋でも、つい、威勢の良い声を張り上げている八百屋に入ってしまうように、いかにウェブ上でSNSなどを介し、ユーザーとコミュニケーションを取れるか。そこで、いかにネットショップの色を出していくかということが、これからのEC事業者にとってもっとも大切なことだ」(星)
「今は、資本力がないと大手EC事業者に匹敵する規模に成長させることは難しいかもしれない。しかし、月商数百万円のネットショップはいくらでも残っていける。これからネットショップに求められるのは独自性。電話受付をする、当日配送する、仲良くなったら値引きしてくれるといった、色のあるネットショップにはファンがつく。そういったネットショップは、規模はそれほど大きくなくとも、残り続けると思う」(向畑)