CONPROSYSひとつでIoT環境を実現。
製造業を支える老舗だから実現したブランド
――「CONPROSYS(コンプロシス)」開発の経緯を教えてください。
簀戸(コンテック、以下C) 当社は1975年創業の、産業用コンピューター、ネットワーク機器、それにPCを使った計測制御機器のメーカーです。その成り立ちからも、IoTにおける製品、ソリューションの提供には優位性があるため、商品化を進めてきました。CONPROSYSという新しいブランド立ち上げたのも、既存のお客様からの期待が大きかったですね。
――CONPROSYSの特徴とは?
簀戸(C) ひとことで言うなら、デバイスの中にIoTに要求されるソフトウェアを搭載し、各種ツール、クラウドサービスまでを準備しています。IoTシステムを構築する環境を丸ごと提供する製品です。ですから、CONPROSYSだけでIoTはスタートできます。
IoT、M2Mなどの言葉が出てきたのは最近ですが、同じような仕組みは、テレメトリングとか、遠隔監視といった言葉で前からありましたよね。当社はその頃から、ネットワーク機器や産業用コンピューターを提供しています。極端に言うと、IoTはそれが名前を変えたものだと考えていますので、製造業や装置メーカーに組み込んで使っていただくことを想定しています。
――CONPROSYSの役割を、具体的に説明いただけますか。
簀戸(C) たとえば、工場内のさまざまな機械を動かしている、「PLC (Programmable Logic Controller)」と呼ばれる装置があるのですが、これとの通信の仕方は、各社、各機械によってそれぞれ異なります。そんなバラバラの信号や通信手段を、CONPROSYSデバイスでひとつにまとめるイメージです。ちょうど、英語やフランス語を日本語に変換する、翻訳機のような役割ですね。そこが、お客様から評価されている点のひとつです。
――CONPROSYSには、Microsoft Azureが使われているとのことですが、どの部分に活用されているのでしょうか。
簀戸(C) IoTの定義は広いですが、当社の役割は、センサーで取得した情報をコンピューターに蓄積・分析して、人間に活用してもらう。それによって社会の課題を解決していく、ということだと思っています。その上で、データを蓄積・分析する場所として、クラウドが主流になると考えており、Microsoft Azureを採用しました。
――クラウドサービスは他にもありますが、なぜAzureに?
簀戸(C) マイクロソフトさんが力を入れているクラウドサービスなら、お客様の期待に十分答えられるだろうと判断したのが前提ですが、それに加え、Azureは企業向けクラウドとして堅牢なセキュリティが確保されていること、そして世界展開している。
また、中国においても提携企業によって、すでにAzureが提供されている点が大きいですね。当社は中国でもビジネスを展開していますので。
まず自社工場に導入。
手書きのデータを可視化したことで得た成果とは
――CONPROSYSは、まず御社のマザー工場に導入されたということですが。
中本(C) はい。当社の小牧工場は多品種少量生産をしていますが、これは日本の多くの製造業も同様です。競合は台湾、中国などの大きなロットの工場になり、それらに勝つためにはどうしたらいいかと考えた時、CONPROSYSを使って、データの抽出、可視化、分析をして最適化を図り、強いIoT環境の構築を目標としました。 実際、今まで紙で管理していたものがデータとなり、可視化できたのは大きな成果ですね。
――実際に、どんなデータを取得するのでしょうか。
西川(C) いくつかパターンはありますが、温度や湿度の管理、ラインの監視、工員の稼働状況のモニタリング、使っている道具の情報取得などですね。たとえば「静電チェッカー」という機能は、従来、人力で確認していた工程にCONPROSYS を応用したもので、チェックをパスしていない人間は作業ができないようにしました。
――分析した結果、何か成果はありましたか?
西川(C) 同じ作業をするのでも、作業者によって時間が違うのは、以前からわかっていたことでした。それはいわゆる「熟練度」の違いだったわけですが、目で見ても判断できない。しかし、データ化すれば必ず数値で表せますよね。今まで、熟練者のどこがすごいのかわからなかった点が、数値化することで明確になりました。 また、ある作業者の離席率が多いことがわかったのですが、その原因は、部品の供給の効率や、品質に問題があることだと判明したため、その上位工程を改善することで、稼働率の上昇につなげました。
――導入にあたり、何か苦労はありましたか?
谷脇(東京エレクトロンデバイス、以下T) 今回、開発期間が2ヶ月と非常に短かったことです。それでも何とか稼働まで持って行けたのは、マイクロソフトさんが用意している可視化ツールであるPowerBIとAzure SDKのおかげでした。
小牧工場への導入でポイントとなっていたのがデータの可視化でした。PowerBIはExcelファイルやCSVファイルなどをサポートし、グラフや地図などを連携させた可視化が簡単にできるので採用いただいた次第です。
また、Azure SDKを利用することで、CONPROSYSをAzureに接続するための開発工程を大幅に短縮できたことも大きかったです。
数百社からの引き合い。
同じ課題を抱えた製造業を支えていきたい
――今回の導入には、「IoTビジネス共創ラボ」という団体が関わっているそうですが。
谷脇(T) はい。IoTビジネス共創ラボは、IoT領域のエキスパートが集まったコミュニティで、主にエンタープライズ系のビジネスで実績のあるSIerが集まっています。クラウドサービスは製造業ではまだまだこれからという段階ですので、先行しているエンタープライズ系の開発者にご協力いただきました。
――具体的にはどんなことをされたのでしょうか。
谷脇(T) CONPROSYSからAzureに上がったデータの蓄積、分析、可視化など、Azureサービスのすべてですね。エンタープライズでのノウハウを、製造現場に展開してもらいました。
――実際、お客様からの反応はいかがですか。
中本(C) 小牧工場で行ったように、生産の情報をクラウドに上げて可視化したい、という課題があるのは間違いないのですが、具体的にどうしたらいいのかわからないのが現状です。しかし、今回の小牧工場への導入で事例ができました。工場見学希望者は日に日に増えているのですが、「この仕組みを丸ごと売ってくれ」という方もいるくらいですので、反響の大きさを感じています。
――CONPROSYSは今後どのような展開を予定されていますか。
簀戸(C) 製品を本格的にリリースしたのは去年の秋でしたが、それ以降、数百社から引き合いをいただいています。各社様の最も大きい需要が、自社工場をIoT化したい、要するに小牧工場と同じことの実現。その次が、自社製品をIoT化し、競争力を高めたいというものです。今後は、この2つにフォーカスしていきたいと考えています。
中本(C) 現場としては、まず年内にCONPROSYSを工場全体に適用する予定です。現状、多くの企業が測定器のデータを手で書いています。CONPROSYSはそれを自動化できるツールなので、同じ課題を抱える人たちにサンプルを提供し、使い勝手を聞きながら、パッケージ化して販売していきたいと思います。
金田(C) CONPROSYS は工場に限ったものではありません。医療、教育、どんな分野でも応用は可能です。IoTが加速していく中、さまざまな業種業態でお役に立てると思います。(了)
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