日本マイクロソフト・パートナー対談
既存の枠にはまらない、新しいECを考える
増渕(日本マイクロソフト) 今回は、「既存の枠にははまらない、新しいEC」について考えたいと思い、おふたりをお呼びしました。
Commerbleの橋本さんは、Eコマースのカスタマイズ機能をクラウド上で提供するプラットフォーム「Commerble EC PaaS」を提供しています。ローンチしてから1年くらいかな、立ち上げ時からいろいろご相談を受けていて、「トランザクションベースの新しいECをやりたい」とおっしゃるので、「価格破壊なのかな」と思っていました。
実際に事例を見てみると、価格破壊ももちろん行われているんだけど、さらに「ECの事業者側の発想を自由にするために、既存のパッケージやEビジネス上の規制をアンロックしたい」という思いがあるなと感じていました。
セカンドガレージの阿部さんは、ショッパー向けに分析ツール「Fast for EC」を提供しています。テクノロジーで既存の規制をアンロックしたところで、事業者側の関心事がどこに向かってほしいかというと、顧客との対話だったり、実際のビジネスを伸ばすための施策を考える方向に行ってほしいわけです。
直接顧客と対話できないECでは、それが分析によって可能になります。さらに「Fast for EC」では、楽天市場やYahoo!ショッピング、ASPカートなどを利用する小規模事業者でも利用できる価格帯にし、あらかじめ分析項目を設定して誰でも見られるようにしました。CRMができないと言われていたショッパーに向けて、「データの民主化」にも取り組んでいます。
そういうおふたりと、新しいECについて語ってみたいなと考えています。まずはCommerbleの橋本さんから、規制をアンロックしたサービスと事例について聞いていきましょう。
既存のECパッケージの規制をアンロック
「こう売りたい」を実現する「Commerble EC PaaS」
橋本(Commerble) 当社では、ECプラットフォーム「Commerble EC PaaS」を提供しています。PaaS(パース)というと聞き慣れないかもしれませんが、昨今のEC業界で利用されているのがSaaS(Software as a Service)で、一部のサービスをクラウドで、アプリケーションとして提供するというものです。
一方のPaaS(Platform as a Service)は、プラットフォームの部分をクラウドで、ECの主要機能である、CMS、カート、会員管理などをAPIで提供していきます。これによって、自分たちでプログラムを書いたり処理を挟んだりして、SaaSよりもカスタマイズがしやすくなる。永続的に開発が可能な、新しいスタイルのECプラットフォームを目指しています。
PaaSにより、既存のECの4つの課題を解決できると考えています。まずは「コスト」。ここ1年間に取り組んだ案件では、80%くらいコストを圧縮することに成功しています。次に「陳腐化」と「パフォーマンス」。既存のパッケージだと作った瞬間から陳腐化し、パフォーマンスも悪くなるので、3年周期でリニューアルが行われます。その際、「パッケージやベンダの乗り捨て」がされているのですが、システムとノウハウを一緒に捨ててしまっているわけです。発展し続けるEC業界であれば、そうではなく、ノウハウや仕組みが蓄積するタイプのシステムであることが望ましいと考えています。
こうした課題の解決のほか、増渕さんがおっしゃった「アンロック」も実現しています。というのも、最近、事業者さんから「こういう売りかたをしたいんだ」というお声をいただくんですね。独自のIDを使いたい、特殊な検索をしたい、複数の価格を設けたい、基幹や在庫と連携したい。それを、既存のパッケージでは都度大きな改修コストがかかっていた部分を、PaaSではあらかじめ、カスタマイズを追加できるような形にしています。
これまでシステム、予算の制約で、売りかたが制限されたいたのをアンロックしています。いろいろとカスタマイズされても、PaaSプラットフォームのソースコード自体はひとつです。そのため運用や開発自体も少人数で行われ、低価格での提供を実現しています。このあたりは、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどクラウドプラットフォームの取り組みを参考にし、価格的な競争力を目指しています。
増渕(日本マイクロソフト) いくつか、アンロックされた事例をお話しいただけますか。
橋本(Commerble) まず、野原産業さんという、BtoBの建築資材卸業者さんの事例があります。これまで、営業担当者が電話で注文を受けるスタイルだったのですが、ビジネスの限界を感じて、ECを作りたいとお声がけいただきました。
建築資材のECは、ドアや壁紙など完成品は取り扱っているところもありますが、下地材など未完成品である建築資材ではなかなか取り組めていなかった。というのも、既存のシステムだと実現できないからです。送り先が現場でまだ住所がなかったり、届けるのに入構許可証が必要だったり、メーカーに直接注文をかける製品があるから納期が異なったり。そういった商習慣に対応できるパッケージはなく、ゼロから作るとコストがかかる点もあり、始めにくい状況にありました。「Commerble EC PaaS」でどちらの課題も解決し、建築資材のEC取引が実現しました。現在も改善を続けています。
増渕(日本マイクロソフト) 実は、EC化している既存の商取引って、すごく少ないはずなんです。建築資材のBtoB取引のトランザクションを考えても、ものすごく大きな市場ですよね。ただ、これまではそこのデジタイズができるツールがなかった。野原産業さんの事例は、既存のECの枠組みの中で考えて、差別化や新しい試みができないと思い込んでいる事業者さんに、すごくいいヒントになると思います。
橋本(Commerble) もうひとつは、大手小売企業様での店舗受取型ECの事例があります。特価商品が載った独自のチラシを特定の地域に配付して、オンラインで購入し、店頭に受け取りに行くO2Oの施策です。ネットで買うと店舗の売上が減るというのは、小売業で起きがちな発想だと思いますが、それをお客様に必ず店舗に取りに行っていただく、その代わりに特別な価格で購入できる仕組みで、店舗に売上を付けることで、取り組みがスムーズに進みやすいようにしています。商品単位で受取店舗や受取日を持ったり、福袋的な選択セットを設けたり、既存のシステムだと実現が難しい部分を解決しています。
チラシなので、あらかじめ購入の目的がある方が多く、コンバージョン率が非常に高い特徴があります。店舗も活かした新しい仕組みを考えていきたいというお客様が、「Commerble EC PaaS」で試行錯誤を迅速に取り入れ、事業を加速させている点は、提供側の我々としても光栄に思います。小売の場合、単にEC機能追加というわけではなく、現場の協力は不可欠ですので、新しい仕組みを作りたいという皆さんの熱意で前に進んでいます。
増渕(日本マイクロソフト) 大手ECプラットフォームと戦うのではなく、もともとの小売の、自分たちのやりかたで取り組もうとしているところがいいですよね。デジタルネイティブでないEC事業者さんが、デジタルを使って、結果的にインテリジェントな売りかたをしている。ECと呼ぶべきか迷うくらいのお取り組みで、アンロックしているいい事例ですね。
橋本(Commerble) SIで構築する価格の10分の1以下で実現できたようです。こういう売りかたをしたいんだけど、できなくて困っている、高くついてしまうという事業者さんと、Commerbleの相性は非常にいいと感じています。
一方で、「売りかたから考えてくれないか」というご相談もありました。それはちょっとというお話をしたら、「じゃあ、機能の○×表から考える」というところに落ち着いたのですが、言ってみればCommerbleはなんでもできるので、「こう売りたい」という確固たる考えを持たない事業者さんには、組み立てられていないブロックのように思われるかもしれません。このあたりは、業界に特化した汎用的なものを提供できないか、構想を温めています。
増渕(日本マイクロソフト) どうして、機能の○×表から考えるという発想になるんでしょうね。仮説としては、既存のシステムの制限にとらわれすぎているか、IT部とマーケティング部あたりをがっちゃんこして、社内インフラを作るかのようにテンプレートでECを作ろうとしているのか、といったことが考えられますけれど。
「ゼロベースで、何か新しい事業を作っていこう」みたいなワクワク感ではなくて、「コストにあわせて何を引き算したらハマるだろうか」という発想になっている。「儲けよう」という発想が少なくなっているんじゃないかな。
逆に言えば、EC業界が手がつけられなかった、モノやお金の取引をデジタイズできるツールがあれば、世の中はもっと良くなっていくはずなんです。そこまで、既存のECの型に擦り寄らなくていい。EC用にウェブ在庫を抱えてしまったから、売らないといけない、広告を出さなきゃといった発想で、もしかしたら、本来のビジネス的にはやらなくていいことをやらざるを得なくなっていませんか?と問いかけたいですね。
橋本(Commerble) おっしゃるとおりですね。現在進行中の案件としては、海外のバイヤーさんが買い付け、越境で送るための仕組みを作っています。これもアンロックな事例になりそうです。
増渕(日本マイクロソフト) おもしろいですね。共通するパーツをAPIで提供するということは、橋本さんたちの経験値が増えると、Commerbleを使ってできること増えるわけですから、ますますアンロックされる取引が増えていく連鎖も、すばらしいと思います。
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モール、ASPカートでもデータ分析からCRMへ
安価なツールで「データを民主化」する「Fast for EC」
増渕(日本マイクロソフト) 阿部さんと橋本さんのお付き合いは長いんですか?
阿部(セカンドガレージ) はい。5年前のMicrosoft Azureの開発コンテストで、「Fast for EC」が優秀賞をいただきまして、それをきっかけにお話しするようになりました。といっても、ビジネスでのお付き合いは今回システムを連携させていただいてからです。
増渕(日本マイクロソフト) 阿部さんは、安価で容易に使えるけれど高機能な分析ツールにより「データの民主化」に取り組まれているわけですが、立ち上げのきっかけから聞いてもいいですか?
阿部(セカンドガレージ) 私はずっとエンジニアだったのですが、酒好きが高じて、30歳の時に某モールでワインのネット通販を始めました。Web周りを私が、発送は実家が酒屋の友人という役割分担です。出店して販売を始めると、広告出稿の話になります。一度目はともかく、二度目は効果検証しないと検討できないなと思ったのですが、当時は、効果検証する術がなかったんです。ないなら自分で作ろうと思ったのが、「Fast for EC」立ち上げのきっかけです。
増渕(日本マイクロソフト) EC事業者として、自分が欲しいものを作ったわけですね。
阿部(セカンドガレージ) はい。商品ごとの購買情報やLTVなど、ECを運営していくうえで、こういうことがわかったら運営を改善していけるなという分析項目を設けました。それらの項目が、受注データを取り込むだけで、Excel形式でレポート化することができ、それをベースにWebブラウザ上で掘り下げて分析することが可能になります。
裏側の仕組みとしては、ECの管理画面からCSVでダウンロード、もしくはAPIでつないで受注データをMicrosoft Azureに溜め込みます。すると、自動で取り込んだデータが内部で最適化されて、レポート、ダッシュボードの形で出てくる仕組みです。楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonに限らず、多くのショッピングモールやASPカート等に対応しています。
月商500万円未満で月1万円から、売上が500万円上がるごとに5,000円課金という料金体系です。ECのコンサルタント会社を含め130社に導入、月商50万円程度~2億円規模のところまで幅広く使っていただいています。
増渕(日本マイクロソフト) EC事業者さんだけじゃなく、ECコンサルタントも使っているんですね。
阿部(セカンドガレージ) ECコンサルタントの方の「これが欲しい」という声も取り入れて、機能追加を行っています。「レポート作成」のボタンを押すだけで、ECコンサルタントが時間を掛けて作っていたレポートが自動で出てきますので、単なるデータ収集・集計作業ではなく、利益率を最大化させるためのデータ活用や顧客理解のためのデータ活用等、より本質的な作業に時間を使えるようになったと喜んでいただいています。
増渕(日本マイクロソフト) 橋本さんとのお話で出た、「規制をアンロックする」という視点で行くと、これまでは共通の分析項目でよかったのが、これからはそれぞれの事業者ごとに、固有のKPIを持つ必要が出てくる。そういった事業者さんの分析をサポートできるんじゃないですか。
阿部(セカンドガレージ) 月5万円からの専用サーバープランを契約いただくと、Power BIやPowerPivot等で独自の分析を柔軟にしていただくこともできます。
ただ元々は、「データの民主化」のお話が出たように、それほど売上が立っていない小規模な店舗であっても、やる気さえあれば分析して、改善して、伸ばしていけるように、安価に使える分析ツールを作りたかったんです。分析が重要だとは言っても、中小規模の店舗さんは、自分たちに合う分析ツールがない。それ以前に、何を分析したらいいかもわかっていない場合がありますから、できるだけ敷居を下げたかったのです。
増渕(日本マイクロソフト) コンサルタントの方からは、もっと柔軟に分析したいという話が出てきませんか?
阿部(セカンドガレージ) いろいろとご要望はいただいており、重要度が高いものから順に機能を追加しています。現状の主な使いかたとしては、Excelのレポートを俯瞰して得た気づきを、Webブラウザで表示されるローデータを動的に掘り下げていくという使い分けです。
増渕(日本マイクロソフト) 橋本さんと阿部さんが組んだきっかけは何ですか?
橋本(Commerble) 当社は分析プラットフォームまでは持たないのですが、クライアントからご要望があったので、「Fast for EC」と連携することにしました。
「Fast for EC」はECエントリー層がターゲットで、「Commerble EC PaaS」は月商数億円からの中・大規模事業者さんで違いはあるのですが、実はECのデータは、ビッグデータまではいかないんですよね。ですから、中規模事業者さんであっても、BIツールを導入する必要はそれほどなくて、Excelのような誰でも使えるツールで十分だと考えています。それよりも、データを見る文化があるかどうかのほうが重要です。
増渕(日本マイクロソフト) なるほど、中小規模のEC事業者さんのデータ分析は、自由な分析ツールで「規制をアンロックする」というよりは、「データの民主化」の段階なんですね。
阿部(セカンドガレージ) むしろ、ECコンサルタントの方ですら、本来見るべきデータを、時間を掛けてデータ収集・分析できずにいるケースもあります。そのあたりの課題も解決していきたいと考えています。
橋本(Commerble) 阿部さんがおもしろいなと思ったのは、何かの真似をしたんじゃなくて、自分が欲しいものを作ったところです。うちも、毎回、SIでECサイトを作るのが、時間がかかるし大変だからという理由もあって、「Commerble EC PaaS」を作りましたから。
リッチクライアントという技術で、データを溜め込んで、流れるように見られるのもいいですよね。他の分析ツールでは、ちょっと見たことがないです。
阿部(セカンドガレージ) 自分が使いやすいように作りましたから。中小規模のEC事業者の現状を見るに、データをバラバラにして、店舗運営をする上で必要なデータを自由に、安価に見られるようになったのが、「Fast for EC」のいちばんの意義だと思います。
今後はこれを見るだけで、ショッピングモールやASPカートを利用する店舗さんでも、CRMなど売上アップの施策を実施できるようにしていきます。
橋本(Commerble) 「Commerble EC PaaS」もそうですが、利用する店舗さんが増え、経験値が増えるほど、「こんな分析ができたら」「こんなレポートは出ないか」と機能が追加され、「Fast for EC」もよりよいソリューションに発展していきますよね。
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制約に気づき、取り除ければ先行者利益が待っている
増渕(日本マイクロソフト) おふたりのソリューションの 話をうかがっていて、「既存の枠にははまらない、新しいEC」が見えてきた気がします。とはいえ、今後さらに広めていくためには、パートナーが不可欠ですよね。
橋本(Commerble) システムを作る企業とは既にお話していて、実現を画策しています。事例をベースに始めるほうが多い印象です。
阿部(セカンドガレージ) 「Fast for EC」では、現状、ロックオン社の広告の効果測定ツール「アドエビス」やラクス社のメール配信ツール「クルメル」と連携が完了しています。今後も、その他のさまざまなサービスとも連携していきます。
増渕(日本マイクロソフト) RFM分析などが手軽にできるんですもんね。顧客をクラスタリングしてメール配信しない手はない。
阿部(セカンドガレージ) それもありますし、そのためだけにECプラットフォームを乗り換えなくても済むようになります。やりたい施策が増えるとASPカートからパッケージに乗り換えるといった選択がこれまででしたが、それだとコストもかかりますし、橋本さんがおっしゃったように、都度乗り捨てではノウハウが貯まりませんから。
増渕(日本マイクロソフト) 「Commerble EC PaaS」や「Fast for EC」により、一時的に解決できる課題もあると思います。その一方で、事業者さん自体の、インターネットリテラシーやデータ分析力なども、同時に上げていかないと根本的な解決には至らないでしょう。
たとえば、世の中のExcelユーザーの大半は、Excel2000くらいの機能しか使っていません。Power BI を立ち上げれば、5,000万件のリストを入れることも可能なのに、そういうことを知らずに、高価な分析ツールを導入したりしてしまったりする。そういったリテラシーの不足で、国内外のツールベンダーの言いなりにならないようにしていただきたいです。
阿部(セカンドガレージ) データ分析は将来的に、マシンラーニングやAIに発展していくことになると思います。同じクラウドでも、Microsoft Azureのように基盤が整ったところにデータを持っておくと、可能性が広がりますよね。
橋本(Commerble) 「Fast for EC」にAIが入って、「あなたの場合は、こういうふうにデータを見たらどうですか?」というナビゲーションが入ったら、すごく良さそうですね。
増渕(日本マイクロソフト) AIの活用はBtoBのツールでも進んでいくでしょうね。「Fast for EC」によって、分析と施策がどんどん進んでいくと、もっとやりたいことが増えていくはずです。たとえば、Power BIで自分の仮説が正しいかを検証したり、離脱しそうなお客様をマシンラーニングで見つけようという発想も出てくるでしょう。
阿部(セカンドガレージ) ECで持っているデータを、実店舗にも活用するという発展の仕方もあると思います。実店舗は、商品を並べ替えるだけでも売上が変わってくるのに、ECよりもさらにデータがとれていませんから。ECと実店舗のオムニチャネル施策などと考える前に、まずは、データを使って売上を向上できないかを考えることから始めたら良いと思っています。
橋本(Commerble) マシンラーニングの例にもありましたが、テクノロジーが進んだことで、売りかたの限界はなくなってきていると思います。「本当はもっとこうやりたかったのに、予算がなくてできなかった」は通用しなくなる。ですから、事業者さんの「こう売りたい」「こうしたい」という声をもっと聞きたいです。「Commerble EC PaaS」は、それを実現するためのプラットフォームですから。
ECは、その市場規模から見ても、昨今のインバウンドのニーズを見ても、国益に大きく影響するものですよね。その重要な市場において、テクノロジーで売りかたが制限されてしまうという課題を、ひとつでも多く解決できればと考えています。
増渕(日本マイクロソフト) まず、橋本さんがおっしゃったとおり、ECのテクノロジーに関しては、「できることが増えた」が加速度的に進んでいます。一方で、「ECサイト制作」に関しては、随分前に業界のルールのようなものが決まり、これまでそれに倣ってきたので、「できることはここまで」という既存の枠組みの中で行われてきました。
そこに「Commerble EC PaaS」や「Fast for EC」が登場したので、まずはそれらを使うことによって「ECではこういう売りかたしかできない」という思い込みをアンロックして、自由な発想でやっていきましょうと言いたいですね。イベント会場に実際に来た人だけに、こんなふうに売りましょう。日本に観光に来た人に、海外から使えるクーポンを発行しましょう。こういった柔軟な売りかたは十分に実現可能です。
それを実現する基盤として、Microsoft Azureが大きな一角をとりたいと考えています。実現のために何を提供するかと言うと、フルオープンに使える、データと処理を分けるクラウドを目指していて、便利なものはAPIベースでどんどん提供しますし、TableauやAdobe Analyticsのような外部のツールともつないでいきます。Microsoftのものでないから処理できないという制限をアンロックする。そういうオープンなクラウドになっていくことで、既存のモデルを駆逐していきたいと思いますし、そういう世界をなるべく加速させたいと思っています。
EC事業者さん、小売事業者さん、よくわからないシステムの制約にがんじがらめになっていませんか?と問いかけたい。今、それを見直す時期に来ていますし、早く見つけて制約を取り除けた事業者さんには、新しい売りかたで市場を開拓するという、先行者利益が待っているはずですから(了)。
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