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思い描く理想の「商売」はネット上でも実現可能 ECの制約をアンロックするふたつのサービス

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2016/03/31 10:00

マイクロソフトが、EC支援ツールを展開するパートナー企業と、ECの未来について対談するシリーズ。第3回は、PaaS式EC構築サービスを提供するCommerble・橋本さんと、EC店舗分析ツールを提供するセカンドガレージ・阿部さんが登場です。

日本マイクロソフト・パートナー対談
既存の枠にはまらない、新しいECを考える

増渕(日本マイクロソフト) 今回は、「既存の枠にははまらない、新しいEC」について考えたいと思い、おふたりをお呼びしました。

Commerbleの橋本さんは、Eコマースのカスタマイズ機能をクラウド上で提供するプラットフォーム「Commerble EC PaaS」を提供しています。ローンチしてから1年くらいかな、立ち上げ時からいろいろご相談を受けていて、「トランザクションベースの新しいECをやりたい」とおっしゃるので、「価格破壊なのかな」と思っていました。

実際に事例を見てみると、価格破壊ももちろん行われているんだけど、さらに「ECの事業者側の発想を自由にするために、既存のパッケージやEビジネス上の規制をアンロックしたい」という思いがあるなと感じていました。

セカンドガレージの阿部さんは、ショッパー向けに分析ツール「Fast for EC」を提供しています。テクノロジーで既存の規制をアンロックしたところで、事業者側の関心事がどこに向かってほしいかというと、顧客との対話だったり、実際のビジネスを伸ばすための施策を考える方向に行ってほしいわけです。

直接顧客と対話できないECでは、それが分析によって可能になります。さらに「Fast for EC」では、楽天市場やYahoo!ショッピング、ASPカートなどを利用する小規模事業者でも利用できる価格帯にし、あらかじめ分析項目を設定して誰でも見られるようにしました。CRMができないと言われていたショッパーに向けて、「データの民主化」にも取り組んでいます。

そういうおふたりと、新しいECについて語ってみたいなと考えています。まずはCommerbleの橋本さんから、規制をアンロックしたサービスと事例について聞いていきましょう。

既存のECパッケージの規制をアンロック
「こう売りたい」を実現する「Commerble EC PaaS」

橋本(Commerble) 当社では、ECプラットフォーム「Commerble EC PaaS」を提供しています。PaaS(パース)というと聞き慣れないかもしれませんが、昨今のEC業界で利用されているのがSaaS(Software as a Service)で、一部のサービスをクラウドで、アプリケーションとして提供するというものです。

一方のPaaS(Platform as a Service)は、プラットフォームの部分をクラウドで、ECの主要機能である、CMS、カート、会員管理などをAPIで提供していきます。これによって、自分たちでプログラムを書いたり処理を挟んだりして、SaaSよりもカスタマイズがしやすくなる。永続的に開発が可能な、新しいスタイルのECプラットフォームを目指しています。

PaaSにより、既存のECの4つの課題を解決できると考えています。まずは「コスト」。ここ1年間に取り組んだ案件では、80%くらいコストを圧縮することに成功しています。次に「陳腐化」と「パフォーマンス」。既存のパッケージだと作った瞬間から陳腐化し、パフォーマンスも悪くなるので、3年周期でリニューアルが行われます。その際、「パッケージやベンダの乗り捨て」がされているのですが、システムとノウハウを一緒に捨ててしまっているわけです。発展し続けるEC業界であれば、そうではなく、ノウハウや仕組みが蓄積するタイプのシステムであることが望ましいと考えています。

こうした課題の解決のほか、増渕さんがおっしゃった「アンロック」も実現しています。というのも、最近、事業者さんから「こういう売りかたをしたいんだ」というお声をいただくんですね。独自のIDを使いたい、特殊な検索をしたい、複数の価格を設けたい、基幹や在庫と連携したい。それを、既存のパッケージでは都度大きな改修コストがかかっていた部分を、PaaSではあらかじめ、カスタマイズを追加できるような形にしています。

これまでシステム、予算の制約で、売りかたが制限されたいたのをアンロックしています。いろいろとカスタマイズされても、PaaSプラットフォームのソースコード自体はひとつです。そのため運用や開発自体も少人数で行われ、低価格での提供を実現しています。このあたりは、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどクラウドプラットフォームの取り組みを参考にし、価格的な競争力を目指しています。

増渕(日本マイクロソフト) いくつか、アンロックされた事例をお話しいただけますか。

橋本(Commerble) まず、野原産業さんという、BtoBの建築資材卸業者さんの事例があります。これまで、営業担当者が電話で注文を受けるスタイルだったのですが、ビジネスの限界を感じて、ECを作りたいとお声がけいただきました。

建築資材のECは、ドアや壁紙など完成品は取り扱っているところもありますが、下地材など未完成品である建築資材ではなかなか取り組めていなかった。というのも、既存のシステムだと実現できないからです。送り先が現場でまだ住所がなかったり、届けるのに入構許可証が必要だったり、メーカーに直接注文をかける製品があるから納期が異なったり。そういった商習慣に対応できるパッケージはなく、ゼロから作るとコストがかかる点もあり、始めにくい状況にありました。「Commerble EC PaaS」でどちらの課題も解決し、建築資材のEC取引が実現しました。現在も改善を続けています。

建築資材・建材通販サイト aunworks(アウンワークス)

増渕(日本マイクロソフト) 実は、EC化している既存の商取引って、すごく少ないはずなんです。建築資材のBtoB取引のトランザクションを考えても、ものすごく大きな市場ですよね。ただ、これまではそこのデジタイズができるツールがなかった。野原産業さんの事例は、既存のECの枠組みの中で考えて、差別化や新しい試みができないと思い込んでいる事業者さんに、すごくいいヒントになると思います。

橋本(Commerble) もうひとつは、大手小売企業様での店舗受取型ECの事例があります。特価商品が載った独自のチラシを特定の地域に配付して、オンラインで購入し、店頭に受け取りに行くO2Oの施策です。ネットで買うと店舗の売上が減るというのは、小売業で起きがちな発想だと思いますが、それをお客様に必ず店舗に取りに行っていただく、その代わりに特別な価格で購入できる仕組みで、店舗に売上を付けることで、取り組みがスムーズに進みやすいようにしています。商品単位で受取店舗や受取日を持ったり、福袋的な選択セットを設けたり、既存のシステムだと実現が難しい部分を解決しています。

チラシなので、あらかじめ購入の目的がある方が多く、コンバージョン率が非常に高い特徴があります。店舗も活かした新しい仕組みを考えていきたいというお客様が、「Commerble EC PaaS」で試行錯誤を迅速に取り入れ、事業を加速させている点は、提供側の我々としても光栄に思います。小売の場合、単にEC機能追加というわけではなく、現場の協力は不可欠ですので、新しい仕組みを作りたいという皆さんの熱意で前に進んでいます。

増渕(日本マイクロソフト) 大手ECプラットフォームと戦うのではなく、もともとの小売の、自分たちのやりかたで取り組もうとしているところがいいですよね。デジタルネイティブでないEC事業者さんが、デジタルを使って、結果的にインテリジェントな売りかたをしている。ECと呼ぶべきか迷うくらいのお取り組みで、アンロックしているいい事例ですね。

橋本(Commerble) SIで構築する価格の10分の1以下で実現できたようです。こういう売りかたをしたいんだけど、できなくて困っている、高くついてしまうという事業者さんと、Commerbleの相性は非常にいいと感じています。

一方で、「売りかたから考えてくれないか」というご相談もありました。それはちょっとというお話をしたら、「じゃあ、機能の○×表から考える」というところに落ち着いたのですが、言ってみればCommerbleはなんでもできるので、「こう売りたい」という確固たる考えを持たない事業者さんには、組み立てられていないブロックのように思われるかもしれません。このあたりは、業界に特化した汎用的なものを提供できないか、構想を温めています。

増渕(日本マイクロソフト) どうして、機能の○×表から考えるという発想になるんでしょうね。仮説としては、既存のシステムの制限にとらわれすぎているか、IT部とマーケティング部あたりをがっちゃんこして、社内インフラを作るかのようにテンプレートでECを作ろうとしているのか、といったことが考えられますけれど。

「ゼロベースで、何か新しい事業を作っていこう」みたいなワクワク感ではなくて、「コストにあわせて何を引き算したらハマるだろうか」という発想になっている。「儲けよう」という発想が少なくなっているんじゃないかな。

逆に言えば、EC業界が手がつけられなかった、モノやお金の取引をデジタイズできるツールがあれば、世の中はもっと良くなっていくはずなんです。そこまで、既存のECの型に擦り寄らなくていい。EC用にウェブ在庫を抱えてしまったから、売らないといけない、広告を出さなきゃといった発想で、もしかしたら、本来のビジネス的にはやらなくていいことをやらざるを得なくなっていませんか?と問いかけたいですね。

株式会社Commerble 代表取締役 橋本圭一さん

橋本(Commerble) おっしゃるとおりですね。現在進行中の案件としては、海外のバイヤーさんが買い付け、越境で送るための仕組みを作っています。これもアンロックな事例になりそうです。

増渕(日本マイクロソフト) おもしろいですね。共通するパーツをAPIで提供するということは、橋本さんたちの経験値が増えると、Commerbleを使ってできること増えるわけですから、ますますアンロックされる取引が増えていく連鎖も、すばらしいと思います。

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連載:マイクロソフト×パートナー対談「未来のEC」を語る

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