今回から、具体的なレコメンドの手法について解説していきます。
その前にちょっとおさらいです。前回の記事で、
レコメンドという英語(英語だとそもそもレコメンデーションのほうがふさわしいですが)に惑わされずに「商品のオススメ」と捉えることがまず大変重要です。
こうしたレコメンドというかオススメのそもそもの目的、原則をないがしろにしていては、いつしか目的と手段がひっくり返って、的を射たレコメンドというのはできないでしょう。
と述べました。
今回もこれを踏まえて、話を進めていきたいと思います。
商品を知らないユーザーにオススメする
まずは、オススメの手法についておおまかに分類してみましょう。
A1. ユーザーは商品を知っている
A2. ユーザーは商品を知らない
……おおまかすぎますが、これは大事な分類です。本当です。
例1:Amazonのレコメンド
前回解説した、Amazonによって一躍脚光を浴びた狭義のレコメンドは、主にこのA2をカバーしていたので大きな注目を浴びたと言えます。「こんなのあるんだ!なんでこれオススメってわかったの?すごいね!」みたいな感じです。
実際のところ、「知ったら気に入るだろうけど知らないものを教える」というのは、まさに売り手も買い手も喜ぶとても良いアクションです。
「レコメンドとは気づきを与えることです」的なことはよく言われますが、まさに「気づき」ですね。
「ユーザーが知らないけど、知ったら気に入るものなんてどうやって見分けるんだ」という感じがしますが、相関係数などの手法を使うとそれができてしまうので、それだけ世間に与えたインパクトが大きかったのもうなずけます。
ちなみに、筆者が初めてそれを目にしたのは、はてなのおとなりページ機能だった気がします。 「このページとこのページは似ている」という機能です。
あの時は、軽くショックを受けました。当時のはてなは、かなりエッジが立っていることをいろいろやっていました。この狭義のレコメンド手法の詳細については、次回以降お伝えします。
例2:新商品のCM
もちろん、それ以外にもA2を実現する手法はたくさんあります。
わかりやすいのが新商品のCMです。新商品なので、当然ユーザーは商品を知りません。
狭義のレコメンドのように、「あなたはこれが好きなんじゃないですか」というものではないですが、あまねく多数の人に知らせることで「あ、これ好き」と思う人は一定数存在する可能性があります。
外れる場合も多いので、こういった手法は広く買われることの多い日用品などに有効なことが多いでしょう。 たとえば缶コーヒーや洗剤などです。
前回例としてあげたように、ゴルフの番組でクラブを、レースの中継でタイヤを、などのように予測される視聴者層にヒットする可能性が高い商品のCMを流す、といった対象と商品の絞り込みも使われます。
「ものすごく綺麗になる掃除用具ランキング」という番組で掃除用具のCMを流すのは、相当効率が良いことでしょう。
これをさらに進めたのが、TVショッピングであると言えます。インタラクティブなTVの走りですね。