「計算」を使わなくても有効なレコメンド手法もある
引き続き、レコメンドの手法を取り上げます。前回は「ユーザーの行動履歴」だけを使うパターンのうち、代表的な手法として協調フィルタリングの基礎について解説しました。
実は、ユーザーの行動履歴には「そのまま使えるもの」もあれば、「機械学習などの計算を経て活用できるもの」もあるのですが、協調フィルタリングは後者に該当します。
前者の、ユーザーの行動履歴に計算を使わないパターンについて具体的な例をあげてみます。
A1.リターゲティングによるオススメ
商品詳細ページを見たり、いったんカートに入れたり、ウィッシュリストに入れた商品を、オススメとして繰り返し表示することで購入を期待するというものです。
A2.リピートによるオススメ
以前購入した定期的に消費する商品(サプリやコンタクトレンズ、ペットフードなど)を、しかるべきタイミングでオススメするような例です。
A3.同じ作者の別の作品のオススメ
購入履歴を活用してはいますが、特に計算などは行わず、単なる作者名による検索(クエリ)によってオススメを実現する例です。
このように、機械学習を経なくても有効なオススメというのは多く存在します。商品のジャンルによっては、機械学習がさして効果を発揮しないケースすらあるでしょう。
ではいよいよ、「ユーザーの行動履歴」に加えて、「商品情報の変化」もあわせて活用するケースについて考えてみます。
「ユーザーの行動履歴」と「商品情報の変化」の組み合わせ
ところで、「商品情報の変化」とは、具体的にはどういうことでしょうか。たとえば、わかりやすいところで言うと、新発売、再入荷、人気ランキングでの急上昇、値引きなどがあげられます。