茶道具・着物販売ECの「宗(sou)」 リピート率が高い理由
アンティークの茶道具・着物販売のネットショップ「宗(sou)」を運営するQPは、2013年に設立。もともと、日本人向けに同ジャンルの商品をECで販売していたが、海外販売に特化するため、代表の守屋祐史さんが新たに立ち上げた。新大阪から車で30分ほどの距離に、倉庫を兼ねたオフィスを構える。
現在、国内向けに自社サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピング、海外向けには、自社サイト(英語、簡体字、繁体字、フランス語)、楽天シンガポール、そしてeBayに出店している。売上比率は、国内が7割、海外が3割だ。
さまざまなサイトを持つ同社だが、eBayは海外販売の拠点とも言える存在。それは、「規模が大きく、お客様が多く、誰でも入りやすい」から。そのオープンさは、販売側にとっても同様で、現地法人を設立せずとも、日本に居ながら越境販売ができること、越境ECを行ううえで欠かせない決済手段、PayPalと連携しやすいことが魅力だと言う。
そのeBayを中心に、「宗(sou)」で海外販売責任者の1人であるケビン・トランさんは、スーパーバイザーながら、カスタマーサポート、翻訳、メルマガ執筆、バナーを作る程度のグラフィックデザイン、発送、入金処理まで幅広く対応している。創業時からのメンバーで、eBayのサイトづくりは、実質彼がひとりで行った。
「入社するまでeBayを使ったことはなくて、やりながら覚えていきました。管理画面が英語なのは、ネイティブはネイティブなので問題なかったのですけれど、日本語のガイドがあるので、日本人の初心者にもわかりやすいと思います。最初は、機能が多いのを不安に感じるところもありましたが、実際に売り始めてみると、その機能が便利になってきますから」
2013年の創業時、年商5億円を目標に掲げ、5名のメンバーでスタートしたのが、外国語が堪能なスタッフを積極的に採用し、今では50名ほどになっている。2年を経て、eBayで販売してみて感じた、手応えのひとつが「リピート率の高さ」だと言う。
「ほとんどの商品が一点ものなのもありますが、やはり、お客様との信頼関係を築こうとしているのが大きいと思います。スタッフ全員が、ビジネスというよりは、人間同士の関係だと思って取り組んでいるんです。
たとえば、商品の色について問い合わせがあったら、登録してある商品データの情報をそのままお伝えするのではなく、似たような色のマーカーペンを比較対象として置いて、実際に写真を撮ってお送りするといった対応をしています」
その信頼関係は、目に見える形でも現れてきている。eBayのユーザーがショップを評価する「フィードバック」は、購入にも大きな影響を与えるが、そうした「宗(sou)」の対応がユーザーにも伝わり、99.7%がポジティブなものであるという高スコアにつながっている。これが、リピーターはもちろん、ゆくゆくは、まだ見ぬ海外からの新規ユーザーの獲得にもつながるわけだ。