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【オンライン】ECzine Day 2026 February (2026.02.13)

Makuake後も成功を続けるブランドに聞く、EC展開の心得

「ECモールの売上1億円を失ってでも自社ECを選んだ」もちはだが実践する、ファン戦略

 応援購入サービス「Makuake」での成功後、多くの事業者は大手プラットフォームでの一般販売へと舵を切る。しかし、膨大な商品に埋もれ、価格競争に巻き込まれるケースも少なくない。創業50年を超える防寒肌着メーカー「もちはだ」は、あえてECモールから撤退し、自社ECを軸とした「顧客と直接繋がる道」を選んだ。資本力のある大手と同じ土俵に立たず、いかにして代替不能なブランドを築くのか。応援購入サービス「Makuake」を運営するマクアケで一般販売を支援するグロース本部責任者の菊地が、ワシオ株式会社3代目社長の鷲尾岳氏に、「Makuake」後の「選ばれ続けるための戦略」を訊く。

「暖かい」の競争から抜け出すための言語化

菊地(マクアケ) 本日はよろしくお願いします。まずは「もちはだ」ブランドの成り立ちと、独自の技術についてお聞かせいただけますか。

鷲尾(もちはだ) 「もちはだ」は1970年に私の祖父が立ち上げた、防寒に特化したブランドです。

 最大の特徴は、独自の特許技術である「ワシオ式起毛」にあります。一般的な起毛は、編み上がった生地のループを針でカットして毛を立てます。この断面が尖っているため、肌触りがチクチクしがちです。髪の毛で想像すると分かりやすくて、抜けた毛はチクチクしませんが、美容院で切られた後の毛は首に落ちると異常にチクチクします。断面が尖るからです。

 一方で私たちの技術は、編むのと同時に起毛を行い、ループを壊さずに優しくほぐして長い毛を立たせます。糸の「腹」が肌に当たるため断面がなく、圧倒的に肌触りが良い。この機械そのものを自社で開発していることが、私たちのコアな価値です。

菊地(マクアケ) 「もちはだ」という名前の通り、一度触れると忘れられない柔らかさですよね。

鷲尾(もちはだ) ありがとうございます。ただ、この価値をどう伝えるかには試行錯誤がありました。そこで掲げたのが「世界から寒いをなくす」というコンセプトです。

 世の中には大手メーカーを含め「暖かい」を謳う肌着が溢れています。その多くは「発熱」という、冷えた後に熱を加えるアプローチです。しかし私たちは「保温」に着目しました。そもそも体が震えるような「寒い」という生理反応を起こさせない状態を作る。

 人は体が震えたり鳥肌が立ったりして初めて「寒い」という感情を持ちます。その反応自体を未然に防ぐ。この「体験」を言語化したことが、競合と比較されない独自のポジションを作る第一歩になりました。

「Makuake」を「認知の窓口」として活用する

菊地(マクアケ) そのコンセプトが初めて世に出たのが、2016年の「Makuake」でのプロジェクトでしたね。

鷲尾(もちはだ) はい。当時、私は中国から家業に戻ったばかりでした。会社の数字を見て愕然とし、再生を急いでいた時期です。「もちはだ」は認知されれば必ず売れるという確信がありました。いかに効率よく、広告費をかけずに認知を広げるかが課題でした。そこで「Makuake」を広報していくための手段として活用することに決めたんです。

菊地(マクアケ) 実際にプロジェクトを開始して、どのような変化がありましたか。

鷲尾(もちはだ) 一番の収穫は、それまでの販路では絶対につながらなかった層と出会えたことです。スタートアップやIT系といった新しいことに挑戦している方達とつながる窓口になりました。

 また、それまで1万円を超えるアイテムがなかった「もちはだ」で、1万円を超えるラグランTシャツが飛ぶように売れました。これは社内でも大きな衝撃でした。ストーリーを添えて正しく価値を伝える。そうすることで、価格競争に巻き込まれず、適正価格で選んでいただけるブランドへの転換点になったと感じています。

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この記事の著者

株式会社マクアケ 執行役員/グロース本部 本部長 菊地凌輔(キクチ リョウスケ)

株式会社マクアケ 執行役員/グロース本部 本部長 1993年 兵庫県神戸市生まれ。2016年 関西学院大学 人間福祉学部 社会起業学科卒業。在学時に、教科書を半額以下で買えるサイト「cacicoテキスト」を立ち上げYahoo!ニュース、Itmedia等100以上の媒体に掲載。2015年1月に株式会社...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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