課題だった直帰率 顧客の迷いを特定できた施策とは
ZENBで主に活用されているContentsquareの機能は、次の三つだ。
講演内では、これらを通じた二つのユースケースが公開された。一つ目が、2025年7月に実施されたばかりの、自社ECサイトトップのリニューアル。改善前は、サイトトップに訪れた顧客の直帰率は約25%だった。このデータから「初めて訪問した人にとって導線がわかりづらいのではないか」と仮説を立てていたという。
「同年7月5日より、テレビCMが放送される予定でした。新規顧客の増加が見込まれていたため、その前に改善する必要がありました」(和田氏)
そこで、和田氏らがまず行ったのがContensquareのジャーニー分析だ。ここでは、次の図にもあるように、同じ色が同じページへの遷移を表している。

「ゼンブヌードルの紹介ページから、各商品の詳細ページへ、そしてまたゼンブヌードルの紹介ページへと戻っている人が多いことがわかりました。同じ色(ページ)を行ったり来たりしている。つまり、多くのお客様が自社ECサイト内で迷っているのです」(和田氏)
その上で、次に和田氏らが取り掛かったのがゾーニング分析。図のうち、左側が商品を買った人、右側が買わなかった人の閲覧状況となっている。和田氏は「ここでも、どのようなブランドなのかと、情報を探して迷っている様子がうかがえた」と話す。

リニューアル前のサイトトップには「スタートセット」「ブレッド」「ヌードル」「チップス」「商品一覧」と、複数の項目が並んでいた。顧客行動の分析後は、項目を減らしてシンプル化されている。顧客が直観的に求める情報にたどり着ける仕組みへと改善された。

もう一つのユースケースが、定期便ユーザーが商品の組み合わせを変えたり、スキップしたりするために必要なマイアカウントのアップデートだ。和田氏は「顧客満足度に特に貢献している部分。3ヵ月かけて大きく構成を変更した」と強調する。
まず、ジャーニー分析で行ったり来たりしている顧客が多いことから、不要な項目も表示されるハンバーガーメニューを削除。さらに、定期便の管理がしやすいように、送料無料を伝えるコンテンツも取り払い、何を注文しているのかファーストビューで目に入る仕様にしたという。加えて、ステップ1としておすすめ情報を表示し、ステップ2でレシピを提案することで、購入した商品の消費を促す工夫も行っている。

改善はこれで終わりではない。ZENBは、今後も継続的なデータ分析とアップデートで、顧客体験を向上し続ける考えだ。
「やればやるほど新たな課題が見えてきます。常にPDCAを回す必要があると実感しました。これからも、Contentsquareを通じて良い循環を作っていきます」(和田氏)