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AI検索時代にブランドはどこで発見されるのか──調査でわかった世代別の購買行動と効果的な3つの戦略

ブランドを決めかねている顧客に選ばれる状態の作り方とは

 「カテゴリー計画購買」とは、顧客が「何かを買いたい」というニーズは持っているものの、どのブランドにするかは決めていない状態で来店する購買行動を指します。たとえば「化粧水が欲しいけれど、ブランドはこれから決める」というようなケースです。

 このような顧客は、複数の商品を比較・検討する傾向が強いため、楽天市場やAmazonのように、多くの商品を一度に比較できるECモールでの購入が主流となります。Google検索では記事やブログなども表示されるため、購入に至るまでに余計なステップが増えやすく、SNSではブランドと無関係な投稿も出てくるため、純粋な比較検討には不向きです。

 カテゴリー計画購買の顧客に対しては、「他社と比べて自社商品がいかに魅力的か」を瞬時に伝え、比較の中で選ばれる状態を作ることが重要です。顧客が重視するのは、次のような情報です。

  • 商品の特徴や成分
  • 価格やコスパ
  • 実際に使った人のレビュー(内容・件数)
  • 売れ筋ランキングや受賞歴などの信頼情報

 特に重要なのがレビューです。レビューの質(具体性)と量(安心感)の両方が、顧客の意思決定に強く影響します。また、この層の顧客は「お得に買いたい」「失敗したくない」といった心理が強いため、比較しやすいスペック表やFAQ(よくある質問)、第三者評価などの情報設計が有効です。

 当社の調査では、こうしたカテゴリー計画購買の顧客は全体の50%を占めています。したがって、「比較される前提でどう勝つか」を戦略的に設計することが、ブランド成長に不可欠といえます。

全体の10~30%を占める「非計画購買」 つい購入してしまう仕掛け

 「非計画購買」とは、元々買うつもりのなかった商品を、偶然見かけて購入してしまう行動を指します。たとえば「今日は化粧水を買う予定はなかったけれど、割引されていてつい買ってしまった」といったケースです。当社の調査によると、非計画購買に該当する顧客は全体の10~30%程度と考えられます。

 非計画購買が起こる主な理由は、大きく2つあります。

お得感による衝動購入

 「セール」「タイムセール」「限定クーポン」などの訴求を見て、予定にはなかった商品を「今だけお得だから」と購入するケースです。

SNSなどメディアによる需要喚起

 Instagram・TikTok・YouTubeなどのSNSを見ているときに、クリエイターやインフルエンサーの投稿がきっかけで、「これが欲しいかも」と気持ちが動き、購入に至るパターンです。これにより、実店舗やECサイトに“見に行く→買ってしまう”という流れが生まれます。

 このように、非計画購買は「金銭的メリット」と「感情的欲求(欲しくなる気持ち)」のどちらか、あるいは両方が働いたときに起こります。

 そんな購買行動を後押しするためには、次のような仕掛けが有効です。

金銭的メリットを打ち出す

  • 実店舗やECサイトでの割引表示・クーポン施策
  • 「本日限定」「残り○点」「あと○時間で終了」など、限定性の訴求

SNSでの需要喚起

  • インフルエンサーやクリエイターを活用したリアルな使用シーンの投稿
  • TikTokやInstagramでのショート動画広告によって、潜在関心層の“感情”に火をつける

 また、非計画購買が起きやすい商品には共通点があります。それは「比較的単価が安いこと」と「自宅に在庫がないこと」です。既に家にある日用品は“とりあえず今すぐ必要ではない”と判断され、衝動的な購買にはつながりづらい傾向があります。

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検索せずともAIが自動表示 非計画購買の新パターン

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この記事の著者

株式会社いつも 取締役副社長/いつも.AI室 室長 望月智之(モチヅキ トモユキ)

東証プライム市場の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも を共同創業。 自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。 デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略など...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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