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AI検索時代にブランドはどこで発見されるのか──調査でわかった世代別の購買行動と効果的な3つの戦略

 普段の検索からSNSでの情報収集、さらにはAI検索など、商品を探す術が多様化した昨今。ブランド運営において考えるべき問いは、商品がどこで探されたかではなく、“どのような文脈でどんな感情とともに出会われたか”へと変化しつつあります。本記事では、EC運営を包括的に支援する株式会社いつもの望月智之氏が、同社の「ネットでの探索行動とAI検索の利用実態に関するアンケート調査」にもとづいて、購買行動を分析。3つのタイプ別に、特徴とアプローチ術を解説します。

ECモール内検索の最適化=MEOが重要なワケ

 我々の顧客は、どこで商品を探しているのでしょうか。

 当社の調査によれば、Amazonでの検索が65.3%、楽天市場が54.0%と、ECモール内での検索が圧倒的多数を占めています。これは、Google検索(44.4%)をも上回る数値です。

直近の半年間で、商品を探す際にどのような手段で検索したか?(複数回答) N=513
直近の半年間で、商品を探す際にどのような手段で検索したか?(複数回答) N=513(クリックすると拡大します)

 この事実は、我々にとって極めて重要な情報です。SEO戦略を語る際、ついついGoogle対策に目がいきますよね。しかし、EC運営における最優先課題は、実は「ECモール内検索の最適化(MEO:Mall Engine Optimisation)」なのです。顧客が最も利用する場所でいかに商品を際立たせるかが、これからの売上成長の明暗を分けます。

 加えて、もう一つ大きな変化の波が押し寄せています。ChatGPTなどの生成AIを通じた商品検索です。利用率は現時点で7.0%と低い水準にとどまっていますが、これを単に「時期尚早」と切り捨てるのは賢明ではありません。むしろ、これは計り知れない「伸びしろ」と捉えるべきでしょう。

 生活のあらゆる場面でAI活用が急速に進む中、購買行動への本格的な波及は時間の問題です。もちろん、商品カテゴリーによって向き不向きもあります。たとえば、性能・スペック比較型の家電やガジェットは相性が良いですが、アパレルやコスメはビジュアル・口コミ型のため不向きです。しかし、この未開拓な領域でいかに先行者利益を築くかが、次世代のEC戦略の鍵となります。

 また、SNSの活用方法にも興味深い傾向が見られます。InstagramやTikTokといったビジュアル重視型のプラットフォームを抑えて、YouTubeが25.9%という高い利用率を記録しました。これは、顧客が情報の断片ではなく、商品の使用感や詳細なレビューのように“より深く、信頼性の高い情報”を求めていることの表れです。つまり、YouTubeは、顧客の購買意欲を醸成する上で強力なチャネルといえます。

 一方で、ショート動画の普及も見逃せません。TikTok、Instagramのリール動画、YouTube ショートを視聴する人は年々増加しており、YouTubeの長尺動画のような深く丁寧に情報を見せるコンテンツの需要が減少する可能性もあるからです。

若年層に徐々に浸透する“AI”検索 今から投資を

 顧客の検索行動を、年代別に深掘りしてみましょう。

 予想どおり、Amazon・楽天市場というECモールの二大巨頭は、年代を問わず普遍的なプラットフォームとして機能しています。これは、あらゆる世代をターゲットにする上で、ECモール内対策が不可欠であることを改めて裏付けるものです。

 そんな中、世代間の差異が浮き彫りになったのが、SNSとAIの領域です。YouTube、Instagram、TikTokといったSNSは、年齢層が上がるにつれて利用率が顕著に低下します。若年層にアプローチする際はSNSが強力な武器になる一方、シニア層には異なるチャネル戦略を練る必要があるとわかります。

年代別内訳(クリックすると拡大します)
年代別内訳(クリックすると拡大します)

 今度は、未来の商品検索行動として普及する可能性のあるAI検索にフォーカスします。20代の利用率は17.3%に達しており、他の世代よりも明らかに高いです。デジタルネイティブである彼らが、新しいテクノロジーをいち早く生活に取り入れている様子がうかがえます。数年後に主要消費層となる彼らの購買行動を捉え、今からAI検索に最適化されたコンテンツや情報提供の準備を進めることは、重要な投資ではないでしょうか。

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指名買い「ブランド計画購買」を増やす2つのアプローチ 一点突破から面展開へ

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この記事の著者

株式会社いつも 取締役副社長/いつも.AI室 室長 望月智之(モチヅキ トモユキ)

東証プライム市場の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも を共同創業。 自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。 デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略など...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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