メガトレンドよりミクロトレンドへの適応? K-Beauty企業が考える日本市場攻略法とは
近年、日本のコスメ・ビューティー企業もグローバル展開に前向きだが、進出先の一国として日本を選ぶK-Beauty企業から見て、日本国内のマーケットはどのような特徴をもつのだろうか。
TIRTIRのLee氏は「アナログ文化がまだ根強く残りながらも、eコマースは成長しており、特に20代から30代の女性はSNSなどを駆使して最新トレンドを素早くキャッチしている」と言及。そのほかにも「韓国ではツヤや輝きを重視したグロウメイクが好まれるが、日本は高温多湿な気候であることから、密着力やカバー力が重視される」と、マスクフィットクッションシリーズが支持を集める理由がうかがえる考察を繰り広げた。
AnuaのShin氏は「日本はメガトレンドが市場に旋風を巻き起こすよりも、複数のトレンドが並行して走っている印象」と述べた上で、「日本の顧客は信頼性を重視する傾向にあるため、商品に含有する成分やブランドの運営体制などを明らかにし、誠実さを伝えていく必要がある」と付け加えた。

BIOHEAL BOHのKwon氏は「最近は20代から老化予防・対策を行う『アーリーアンチエイジング』の概念が韓国・日本ともに浸透している」と見解を述べた上で、次のように話を続けた。
「BIOHEAL BOHでも、アーリーアンチエイジングに焦点を当てた商品展開を進めています。特にハリや弾力向上、シワの改善などに効果が期待されるPDRNを配合した商品『プロバイオダーム コラーゲンリモデリング ブースターショットプログラム』は、ローンチからわずか3ヵ月で売上が1,000%成長するなど、良い成果を得られました」(BIOHEAL BOH・Kwon氏)
今回のセッションで唯一、日本現地法人から登壇しているアモーレパシフィックジャパンの石野氏は、K-Beauty企業が日本で躍進する理由を次のように分析した。
「キーワードは『コスパ』『MZ世代の心の捉え方』『スピード感』の三つだと考えています。かわいらしいパッケージ展開や、メガ割などでのトレンド感あるノベルティの進呈など、MZ世代が手に取りたい、SNSで発信したいと思うようなアプローチが上手なだけでなく、こうしたトレンドをキャッチアップしてすぐにアクションを取れるのが、K-Beauty企業の特徴です。また、顧客がブランドに飽きるより前に新商品が投入されるのも、日本企業との大きな違いだといえるでしょう。
私たちもこうした遊び心をもちながらスピード感のある展開を実現できるよう、LANEIGEの価値を大事にしながら、新たな商品展開を積極的に進めています。2024年5月に全国発売した『バウンシースリーピングマスク』は2ヵ月前に情報解禁、商品発表会を実施し、日本のバラエティショップなどで先行発売を開始するなど、LANEIGEを知らない消費者との出会いを生むような工夫を施しました。こうしたアプローチによってLANEIGE全体の販売実績も伸びてきているため、引き続きブランド浸透を図っていきます」(LANEIGE・石野氏)