TikTok Shop上陸後の買い物を予測 どんな商品が売れるのか
──動画コマースで注目を集めているのが、TikTok Shopです。これから日本上陸を控えていますが、どのような変化があると予想していますか。
Jerry TikTok Shopは、アディショナルチャネルだと認識しています。たとえば、ECモールを補填するようなイメージです。
こうしたチャネルは、比較的、事業規模が小さいブランドにチャンスがあるといえるでしょう。ただし、ブランディングよりも価格が重視される売り場になる可能性があると私は見ています。
反対に、中規模~大規模のブランドは顧客のロイヤリティをどう高めるかを優先します。そのためには、オフラインでもオンラインでも自社チャネルが必要です。顧客と自社の直接的な関係を構築しなければならないからです。
TikTok Shopと自社チャネルでは、買い物に来る人の温度感が異なります。誰しも本当に欲しい商品は自ら調べますよね。しかし、TikTok Shopはテレビショッピングのように情報が流れていくため、念入りに調べるというよりも衝動買いに近い体験になるのではないでしょうか。
その心理を踏まえると、TikTok Shopでは比較的安価で特徴を伝えやすい商品が有利だと考えられます。実際、米国で分析した結果でも同様の傾向が見られます。一方、自社ECサイトでは、比較的高単価な商品が購入されているようです。
商品の特徴を端的に伝えて売るのがTikTok Shop、ブランドストーリーで選んでもらうのが自社ECサイト。それぞれの特徴を踏まえて売り場を選択しなければなりません。

──TikTok Shopの上陸もあり、2025年は動画に注力する企業が日本でも増えるはずです。その中で、Fireworkがどのように日本の企業を支援していくのか、今後の展望を教えてください。
田島 Fireworkは、まだ日本進出を果たして5年目に入ったところです。日本市場では、まだまだ立ち上がり中の段階といえます。そんな中でも、2025年は、日本の企業が顧客のエンゲージメントを高められるよう、伴走していきたいです。
汚い棚に商品が置いてあり、値札もなく、従業員もいない。このような状況は、日本の実店舗では考えられないですよね。皆さん、非常に丁寧な接客をされています。同じような体験をオンラインでも実現できるように、動画を軸にした支援を強化していきます。特に、コスメやアパレルなど、“説明が必要な商品カテゴリー”への支援に注力する予定です。
また、ネットワーク作りも積極的に行っていきます。たとえば、小売サイトに別ブランドの動画を連携する仕組みを作りたいです。もちろん、動画活用やマーケティング、EC運営の担当者同士がつながれる場も用意します。クライアント同士で様々なチャレンジができるはず。交流の輪を拡げていきたいですね。