日本広告審査機構(JARO)は、2024年度上半期(4月~9月)の広告苦情に関する統計を公開した。
2024年度上半期審査状況
総受付件数5,311件 苦情は過去最多だった2020年度から徐々に減少
2024年度上半期は、総受付件数は5,311件で、そのうち苦情は4,095件と前年同期比92.3%と減少した。媒体別では「インターネット」が2019年度に前年比142.2%と急増し、2020年度にさらに伸びて苦情が過去最多に。そこから減少が続き、グラフは山型となっている。
広告主別に見ると、2020年度に比べて広告主数が大きく減少。一因として、近年の表示行政における規制強化や相次ぐ執行があると思われる。
苦情の業種別件数は健康食品が再び増加
苦情の多かった業種は、医薬部外品、健康食品(保健機能食品以外)、オンラインゲームの順となっている。健康食品、電子書籍・ビデオ・音楽配信、通信販売、保健機能食品などの増加が目立った。特に健康食品の中でも精力増強をうたう広告が急増し、前年同期比で大幅に増加。また、オンラインゲームでは広告と内容の乖離や不快な表現に関する苦情が多かった。
媒体別でインターネットは微増、他媒体は減少
医薬部外品や健康食品では「1回限り」「解約不要」「追加料金一切なし」などとうたいながら実際には定期契約となるケースや、誇大広告が目立つ。また、生成AIを使用した不快なビジュアルが使用された広告に対して「卑わいである」「非表示にできない」「一般的なサイトを閲覧していて表示される」などの苦情が多数寄せられた。
苦情4,095件の媒体別上位はインターネット、テレビ、ラジオの順で前年同期と同様の結果に。インターネットは微増、そのほかの媒体は減少した。
「見解」11件 厳重警告は医療機関などに8件発信
今期は11件を審議。内訳は厳重警告8件、警告2件、要望1件、助言0件となった。委員会での審議を経ずに事務局が広告主に改善を促す事務局文書発信は8件だった。見解11件中、定期購入の事例は6件、「No.1」「高評価%」表示が含まれていたのは5件、アフィリエイトが関係するものは6件あった。
2024年度上半期のトピックス
GLP-1ダイエットで医療機関とサイト運営事業者に厳重警告
今期はGLP-1ダイエットに関する事例があった。2型糖尿病治療薬として承認されているGLP-1受容体作動薬を、ダイエット目的で訴求した広告が医療法に抵触するおそれがあるとして、医療機関とオンライン診療予約サイト運営者に対し厳重警告が発信された。
違法な表示の多いネット通販系美容商材 ダークパターン事例も
医薬部外品や美容商品に関するネット広告で、誇大表現や虚偽表示が引き続き多数確認された。また、広告の表現にも変化が見られる。4年前には医薬品のような効果をうたった明らかに違法なディスプレイ広告が多かったが、最近では生理的不快感をおぼえるビジュアルのものが増え、さらに今期は精力増強をうたった性的な表現のものが急増したとのこと。