「すっぴんのAI」を使えるものにするには?
dentsu Japanでは、長年多くのクライアントビジネスを手掛けてきた経験や、クリエイティブに関する知見を生かしたAI活用を進めている。その歴史は10年以上にわたり、2016年に開発されたAIコピーライター「AICO」をはじめ、生成AI登場前からバナー広告作成ツール「ADVANCED CREATIVE MAKER」、サッカースコア予測アルゴリズム「AI ELEVEN」などを生み出してきた。
2022年、生成AIを活用した一般向けサービスが続々と誕生し、2023年には生成AI全体の市場規模は137億ドルを記録(dentsu Japan調べ)。今後10年の平均成長率は27%、2032年には市場規模が1,180億ドルを超えると同社は予測している。こうした未来を踏まえ、dentsu Japanでは独自のAI戦略「AI For Growth」を発表。山田氏はコンセプトを次のように説明する。
「単なる業務効率化ではなく、クライアントとその先にいるエンドユーザーの体験価値向上を目指しています。そのために、マーケターやプランナー、クリエイターの考え方や知見をAIで再現し、活用していくコンセプトを打ち出しています」(山田氏)
AI活用を推進する立場から、山田氏は「すっぴんのAIを使っても、まだ世の中に受け入れられない」と強調。そのため、電通デジタルではdentsu Japanがこれまで培ってきたマーケティング領域を中心とした専門性や、大規模消費者調査データ、大手SNSの発話分析基盤など、AIの精度向上に寄与する独自データ基盤、Microsoft、Google、Amazonといった主要プラットフォーマーとの強固なリレーションシップ、AI技術に関する研究力や実績を生かして顧客行動の促進を進める新たなソリューションを作り上げた。それが、統合マーケティングソリューションブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」である。
「電通デジタルでは、『隠れたAI大国』と呼ばれるモンゴルに開発拠点を有しており、国内外でAIコンサルタント、AIエンジニア200名弱が働いています。未来を見据えて東京大学や滋賀大学と産学連携の取り組みを実施している点も特徴です」(山田氏)