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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

サツドラ・イオン・阪急阪神百貨店が描く小売の未来像 EC・マケプレ化の可能性と課題を語る

 昨今、自社ECサイトに他社が出品できる仕組みを備えた「マーケットプレイス」が、徐々に注目を集めている。その構築を支援しているのが、フランス発の企業・Miraklだ。同社の日本法人であるMirakl株式会社は、2024年11月13日に日本では初となる自社イベントを開催した。本記事では、同イベント内で行われた株式会社サッポロドラッグストアーによる単独セッション、イオン株式会社や株式会社阪急阪神百貨店らが登壇したパネルディスカッションの様子をレポートする。

サツドラが目指す北海道に特化したEC 地域課題を解決する新ビジネスとは

 2024年10月に、自社ECサイトとマーケットプレイスの同時立ち上げプロジェクトを発表したサッポロドラッグストアー。2025年春以降のオープンに向けて、着々と準備を進めている。

 同社がオンライン事業を拡大する背景には、グループコンセプトとして掲げる「地域コネクティッドビジネスへの進化」がある。小売事業だけでなく、幅広いサービス展開を進める考えだ。こうした変革が必要な理由を、執行役員 事業戦略本部 本部長 大井拓人氏はセッション冒頭で次のように語った。

「北海道は『課題先進地域』といえます。国立社会保障・人口問題研究所が発表した『日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)』によると、全国でも人口減少のスピードが速く、2025年に半数以上の市町村が人口5,000人を下回る見込みです。すると、病院や学習塾など、多くのビジネスモデルが成り立たなくなるでしょう。

 この課題を解決し事業を拡大するには、北海道における経済的価値と社会的価値の両立が必要です。そのため、当社はドラッグストアの運営だけでなく、共通ポイントカード事業やコミュニティ、教育事業などの多角化経営を行っています」(大井氏)

サツドラホールディングス株式会社 CEO室インキュベーションチーム/株式会社サッポロドラッグストアー 執行役員 事業戦略本部 本部長/株式会社 S Ventures 取締役 大井拓人氏
サツドラホールディングス株式会社 CEO室インキュベーションチーム/株式会社サッポロドラッグストアー 執行役員 事業戦略本部 本部長/株式会社 S Ventures 取締役 大井拓人氏

 2024年11月時点で、同社が提供するポイントカード「EZOCA」の会員数は220万人。北海道民の3人に1人が所有していることになる。大井氏は「ドラッグストア『サツドラ』は会員による利用が多く、顧客の購買状況はIDに紐づけて販促などに利用している」と話す。北海道民の会員データを起点に「地域特化型EC」を目指すという。

「自社ECサイトやマーケットプレイスで全国に商品を販売できるにもかかわらず、なぜ地域に特化するのか。そう考える人もいるかもしれません。しかし、当社が注力するのは、あくまで北海道の活性化です。

 たとえば、道内では『買い物困難者』の増加といった課題が存在します。そうしたお客様が求めるのは、いつでも行ける小型店舗ではありません。実際、奥尻島の住民に話を聞くと『フェリーを使って対岸の町まで行ってでも、買い物をして回るのが楽しみ』との声が上がっていました。同じような体験を、オンラインでいつでも提供できるようにしたいのです」(大井氏)

 こうした取り組みにより、サツドラグループはどのような価値提供を目指すのだろうか。大井氏は今後の展望を述べ、セッションを終えた。

「EC事業では、北海道民が選ぶ北海道No.1商品を紹介し、地産地消にも貢献したいです。また、これからは既存事業の枠にとどまらず、実店舗・EC・メディアを融合した新たなビジネスモデルの構築が必要となるでしょう」(大井氏)

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/15770 2024/12/03 07:00

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