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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECアナリスト・本谷知彦が解説 越境ECの今と未来

越境ECが日本企業にとって重要な本当の理由 個人消費が伸び悩む中で打つべき対策とは

国内市場のみに新商品を投入しても「ゼロサムゲーム」?

 次のグラフは、国内の小売市場規模について、1994年から2023年までの推移を表したものです。

 以前のコラムでも紹介しましたが、ここ2~3年は物価上昇のためやや上向きになっている一方、長期トレンドを見ると、140兆円前後で長年推移してきたことがわかります。一見すると、安定的に推移しているので良いのではと思うかもしれません。

 しかし、同じ期間、米国の小売市場規模は3倍以上に成長しています。つまり、日本の小売市場は約30年間まったくといって良いほど成長していないのです。物価上昇が小売市場拡大のキーになりそうですが、それでは本質的に市場が活性化するとはいえません。

小売市場規模の推移(単位:兆円) 出所:経済産業省「商業動態統計」をもとに筆者が作成
小売市場規模の推移(単位:兆円) 出所:経済産業省「商業動態統計」をもとに筆者が作成

 小売市場規模がほとんど伸びていないことを裏付ける別のデータを紹介します。

 次のグラフは、小売市場規模の推移と同じく、1994年から2023年までの個人消費における全体額の推移を表したものです。小売市場規模は物販のみのデータですが、個人消費の全体額にはサービス分野やデジタル分野の消費も含んでいます。個人がどの程度のお金を使ったのか、その総額を示すデータです。

個人消費全体額の推移(単位:兆円) 内閣府 経済社会総合研究所「国民経済計算(GDP統計)」をもとに筆者が作成
個人消費全体額の推移(単位:兆円) 内閣府 経済社会総合研究所「国民経済計算(GDP統計)」をもとに筆者が作成

 見てのとおり、ここ2~3年は物価上昇でやや増加していますが、約30年間ほとんど変化は見られません。国内の小売業、サービス業が、いかに成長していないかよく理解できると思います。このような状態で、新しい商品やサービスを国内市場に投入しても、ゼロサムゲーム(誰かが勝って、誰かが負けて、トータルでゼロになるということ)になるだけです。

世界全体の小売市場は成長傾向 2021年からの5年間で1.2倍超に拡大か

 海外では、状況が少し異なります。前述のとおり、米国では1994年から2023年までの間、小売市場規模が3倍以上に拡大しています。またStatistaによると英国、ドイツともに2013年から2023年までの10年間で、小売市場規模は約1.4倍に拡大しています。先進国の中で日本が取り残されている印象です。

 将来的には、次のグラフに示すとおり、全世界の小売市場規模は2026年に32.76兆USドルと、2021年から5年間で1.24倍に拡大すると予想されています。一方の日本は、小売市場規模や個人消費の伸びには今後もなかなか期待できないでしょう。

 したがって、成長する諸外国の小売市場や個人消費へアプローチすることが、日本企業にとって重要ではないかと私は考えています。それを越境ECで実現してみましょうということです。

全世界の小売市場規模の推移予測(単位:兆USドル) 出典:eMarketer「Total retail sales worldwide from 2021 to 2026(in trillion U.S. dollars)」(Statista経由で取得)のデータをもとに筆者が作成 *印の年は予想値
全世界の小売市場規模の推移予測(単位:兆USドル) 出典:eMarketer「Total retail sales worldwide from 2021 to 2026(in trillion U.S. dollars)」(Statista経由で取得)のデータをもとに筆者が作成 *印の年は予想値

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働き手が減ると、消費の担い手も減る

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この記事の著者

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役 ECアナリスト 本谷知彦(モトタニ トモヒコ)

シンクタンク大和総研にてITの主任研究員、金融システム系コンサルタント等を経て、2013年より国内外の産業調査・コンサルティング業務にシニアコンサルタントとして従事。2017年担当部長兼チーフコンサルタントに就任。EC業界のスタンダードな調査レポートとなっている経済産業省の電子商取引市場調査を201...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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