顧客との出会いを増やすMinimal流コミュニケーション
では、Minimalは長く続くブランドになるために、何を実践しているのか。私が大切にしている考え方をシェアします。
シンプルにいうと、Minimalでは内外にストーリーテラーを増やし続けるための「仕組み作り」に注力しています。繰り返しお伝えしているように、ブランドを長く存続させながら事業拡大するには、根強いファンの存在が欠かせません。そこで、単にプロダクトを販売するだけでなく「チョコレートのアウトプットはMinimalに、コンテンツはMaximumに」を合言葉に、公式サイトやリーフレット、SNS、店舗サービスなどで情報発信をしています。
その根底には「球体のブランド」でありたいという考え方があります。球体は1番表面積が大きく、様々な接点でお客さまにブランドのことを知ってもらえるからです。Minimalを認知してもらう機会はまさに点。その点を点で終わらせず、前後の体験を含めブランドのプロダクトとその情報を届ける。お客様にとって、点だったブランドとの出会いが線になり、線が面になっていく。それが繰り返されて、球体となるイメージです。
たとえば、なぜチョコレートブランドの代表である私が「ECzine」で連載をしているか。おそらく、これまで私が行ってきたビジネスに関する情報の発信が、編集部の目にとまったからでしょう。こうした情報発信は、本業とは少し離れているよう思えるかもしれません。
しかし、私という人間を通して、接“点”を面にし続ける努力をしているからこそ、他ブランドにはない接“面”を創出できています。そして、ECzineを通してMinimalを知ってくれた人が、実際にプロダクトを購入すれば、その周辺や背景にある情報(連載の話)とプロダクトの両面を知ってもらえるはずです。
様々な接点からMinimalを知ったお客様が、それぞれの理由でMinimalを好きになってくれると、色々な角度から遠心力が生まれます。結果的に大きな球体のようになり、お客様が接する表面積が増え、さらには多面性を帯びていきます。すると、今度は別の角度から関心をもってくれる誰かを引き寄せられるのです。そのために、今後も“コンテンツフルネス”なブランド作りを続け、プロダクト開発とその前後のコミュニケーションに、全力で投資していきます。
今回で、6回にわたる私の連載「10年続くブランドになる」は最終回です。これまで連載を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。この連載を寄稿させていただくことで、Minimalの10年間を振り返り、解釈して、今後に活かす貴重な機会をいただいたことを、ECzine編集部の皆様にも感謝申し上げます。
この機会に学んだことを、Minimalの「次の10年」の経営に活かしながら、ブランドを進化させていきます。そして20周年を迎えることができれば、また書いてみたいなと思います(笑)。
本連載を読んだ人に、Minimalの実店舗などで声をかけていただくことがあるかもしれないと、楽しみに頑張ります。ブランド運営に日々奮闘している皆様と一緒に、私も次の10年をしっかりと歩んでいきます。