2日かかる作業が約20分に なぜ工数を削減できたのか
ユーザー理解に注力するココナラだが、データから得た発見をどのように施策に落とし込んでいるのだろうか。紺野氏が質問を投げかけると、清水氏は次のように説明した。
「当社は“点と線の施策”を同時に行っています。線の施策は『未購入』『初心者』『レギュラー』『ロイヤル』のようにユーザーの段階を分け、それぞれに適したコミュニケーションを行う方法です。たとえば『未購入』段階のユーザーには、サイトの利用開始時点でつまずかないよう、基本的な使い方などの情報を提供します。加えて、閲覧回数の多さなどユーザーの行動に合わせたアクションも都度行うイメージです」(清水氏)
こうした戦略のもと、「Braze」を活用して可能となった施策が二つあるという。一つ目が「オンボーディングの最適化」だ。具体的には、属性から特定できるユーザー像に合わせてステップメールを設定する。
「新規登録者の行動データはまだ蓄積できていないため、初回登録時の属性情報に応じてニーズのありそうなスキルをレコメンドします。法人には、請求書の発行の可否や高いスキルをもつ出品者の探し方をメールで伝えるなど、『ビジネスで使えるサービスである』と認識してもらう工夫を施しています」(清水氏)
ここで清水氏は、実際のメール配信で活用しているクリエイティブにも言及した。「『Braze』の導入後、コンテンツ制作の業務が効率化された」と語る。
「テンプレートを活用することで、マーケターのみでも複数のメールコンテンツを制作できるようになりました。また、『Braze』とBIツールを連携すれば、セグメント単位でメール配信の効果をモニタリング可能です」(清水氏)
また、二つ目の施策が「新規サービスのサポートヒアリング」だ。ココナラでは、特定の条件から「迷っている」と判断したユーザーにポップアップを表示。サポートメンバーが、すぐにユーザーの疑問に答えられる体制を整えている。この仕組みの裏にも「Braze」の存在がある。
「これまで、ユーザーの画面に表示するポップアップの制作や内容変更には、コーディングが必要でした。そのため、小さな変更でもエンジニアに依頼しなければならず、施策の実行に時間を要していたのです。『Braze』では、必要な要素をドラッグ&ドロップでポップアップに反映できます。この機能によって、ポップアップの制作時間が大幅に削減されました。以前は実装に2日かかっていた作業が、今では約20分で完了します」(清水氏)
「チャネルを問わずあらゆるコンテンツが容易に制作できるよう、『Braze』は進化し続けています」(紺野氏)