高LTVの顧客を可視化したら見えた4つの共通点
書籍・CD・DVD・ゲーム・トレカなどの買取・販売を行う「BOOKOFF」を展開するブックオフコーポレーション。同社は、2007年より「ブックオフ公式オンラインストア」の運営を始め、2018年に店舗・オンラインストアのID統合を実現。2019年より双方の在庫連携を開始している。
2024年7月時点で、常時在庫数400万点以上、会員数約600万人を記録する同サイトの特徴を、菊谷氏は次のように語る。
「当社は買取商品を販売しているため、店頭に欲しい商品がいつ入荷するか基本的にはわかりません。しかし、オンラインストアでは『お気に入り追加』や『値下げのお知らせを受け取る』でご希望の商品を登録しておけば、通知を受け取れます」
1990年にBOOKOFF直営1号店をオープンした同社が、オンラインチャネルの強化や顧客の声に耳を傾けるようになったきっかけは、2010年代後半。業績悪化を経験したタイミングのことだ。CtoC市場の拡大や競合プレーヤーの増加により「変革を求められた」と菊谷氏は振り返る。
「関係性を強化するためにLTVが高いお客様の共通点を探ったところ、BOOKOFFの様々なサービスを能動的に利用してくださっていることがわかりました。そこから私たちは『お客様にいかにそのような行動を促せるかが鍵』だと考え、接点の創出と最大化に努めています」
たとえば、「『ライフステージの変化により漫画を売買しなくなった』『引っ越しにより、近隣にBOOKOFFの店舗がなくなった』といった顧客の変化に対しても、活路を見出してきた」と菊谷氏は話す。
「生活圏に店舗がなくなったという場合は、オンラインストアをご利用いただく、年齢を重ね、漫画を読まなくなった方には、たとえばキャンプ用品など他の商材の売買で接点を創出する。こうすれば当社との関係は途絶えません。こうしたアプローチを実現するため、2018年に『ブックオフ公式アプリ』をリリースし、店舗とオンラインストアの会員IDを統合。2019年には、オンラインストアと全国の店舗在庫の連携を開始しました」
同社は、こうしたオムニチャネル戦略を「ひとつのBOOKOFF構想」と呼んでいる。公式アプリを起点としたコミュニケーション最大化に取り組むことで、アプリ会員数は右肩上がりで成長。レジ通過客数のうち、アプリ会員が占める割合は33.8%(2023年11月実績)となっている。