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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

一歩踏み込んで掴む オンライン海外市場

越境ECで意外に売れるのは◯◯◯ 時代の動きから「ブーム」で終わらない今の盛り上がりを察知しよう

 コロナ禍は、人々のデジタルシフトを加速させる一つのきっかけとなりました。インバウンド需要、越境ECでの販路獲得を進めた方もいたでしょう。2023年以降はインバウンドの復活により、改めて「継続的な顧客接点構築」として越境ECが注目を集めています。本連載で、2024年に何をすべきか一緒に考えてみましょう。連載第14回は、コロナ禍前後の市場変化や近年の越境ECの可能性について、著者と株式会社フューチャーショップ 取締役 セールス・マーケティング部 統括マネージャー 安原貴之氏が意見交換した様子をお届けします。

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刻一刻と変わる越境EC動向 可能性はどこにある?

 コロナ禍の間は、入出国制限により失われたインバウンド需要を取り込むため、円安進行以降は、日本製品に対する海外からの購買意欲上昇のチャンスを逃さないため、そして現在は回復したインバウンドとのタッチポイントを増やし、継続的な購入につなげたいといった意向から、越境ECの導入企業は継続的に増加しています。これらは、近年のEC化率上昇にも確実に寄与していると言えます。

 こうした背景から、関連サービスを提供する企業も増加し、手軽に越境ECを始められる環境が整いつつあります。容易な導入や環境構築が可能になった背景には、EC構築サービスと越境ECサービスの連携が様々なところで進んできたことも挙げられるでしょう。

 今回は、日本国内のEC事業者を多数支援してきた株式会社フューチャーショップの安原貴之氏に話を聞きました。ECプラットフォームを提供する立場から見たコロナ禍以降のEC市場動向や、越境ECの可能性についてお伝えします。

生活様式の変化で食品業界にもECでの商機が到来

本間(BeeCruise) フューチャーショップ様は数多くの日本のEC事業者を支援していますが、越境ECについて話を聞く前に、現在どんな事業者に多く利用されているのか教えてください。

安原(フューチャーショップ) 「futureshop」は現在約2,900店舗が利用していますが、基本的には総合通販系で、中でもアイテム数やSKU数が多い事業者に使っていただくことが多いですね。一番多いのはアパレルで、次に多いのが食品系です。

 以前から食品を取り扱う事業者は多かったのですが、コロナ禍以前は「オンラインで食品を買う」という文化が根付いていなかったこともあり、売上が伸び悩む事業者もいらっしゃいました。しかし、コロナ禍の生活様式の変化により、オンライン経由でのスイーツお取り寄せなどが浸透し、食品系ECの流通額が上がったのをきっかけに、ブランディングに取り組む事業者が増えてきた印象です。

物販系分野のBtoC-EC市場規模
経済産業省「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」よりBEENOS作図

本間(BeeCruise) 図を見ると、「食品、飲料、酒類」のEC化率の上昇幅は微増ですが、市場規模が大きいだけに可能性は広がりますよね。コロナ禍で増えたEC需要は、リアル回帰によってやや鈍化している印象もありますが、一方で新しい生活様式として定着した部分もあることがわかります。

安原(フューチャーショップ) 先ほどブランディングについて触れましたが、スマートフォンの普及やSNSの浸透により、オンライン上の接点は事業者にとっても非常に重要なものとなっています。eコマースは、販売チャネルでありながら大事な顧客接点の一つでもあるため、ブランドとして「自社ECサイトを持ちたい」とfutureshopにお声がけいただく機会も増えました。

 ただ、ECサイトは「売り場」なので、販売を強化しようとすると、顧客接点としてのブランドの表現がやりづらくなるケースもあります。たとえば、「この位置に写真を入れたい」「ここにはボタンをつけたくない」と思っても、デザインの制約によって難しかったりといった具合です。その点、futureshopはデザイン自由度が非常に高い、特許を取得している仕組みがあるため、ブランドが行いたい表現を実現しやすくなっています。

本間(BeeCruise) ECサイトに求められる役割は増えていますが、購買とブランディングを同じ場で両立させるのは難しさもありますよね。機能やサービスを開発する上で、心がけていることはありますか?

安原(フューチャーショップ) 当社では事業者に自走してもらうことを目指し、サポートに力を入れています。電話サポートの応答率は90%超で、EC運営のちょっとした不具合をすぐに聞けるようにしていますし、コンサルティングサービスやEC運営に必要な情報を習得できるセミナーも提供しています。

 プロダクトにもこの思想を反映していて、ちょっとした改善はエンジニアでないEC担当者でもできるようにしています。自ら手を動かしやすい環境を提供すれば、事業者の継続的な成長につながると考えてのことです。そのため、分析機能を提供して数字を見られるようにするなどといった機能拡張にも取り組んでいます。

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この記事の著者

BeeCruise株式会社 執行役員 グローバルマーケティング From Japan担当 本間哲平(ホンマテッペイ)

2008年 スタートアップのD2Cメーカーに入社。小売・流通業界のリアル店舗からEコマース分野において事業開発及びマーケティング全般を担う。2012年に同社グループのコスメ会社を経営責任者として立ち上げる。2014年tenso株式会社に参画し、国内ECサイトの海外販売支援に従事。2015年に同社の執行役員に就任。現在は国内企業の海外進出時のマーケティング事業や自社サービスの越境ECプロモーション、新規事業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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