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コロナ禍の家中ホビー需要もきっかけに 北米エリアで人気な越境ECカテゴリは?
前回の記事では、「データから見る東アジア」について紹介しましたが、今回はアメリカ・カナダを対象とする北米エリアの傾向やアプローチ方法をデータや事例から見ていきましょう。特にアメリカは、世界一の経済大国であるだけでなく、2021年には国別のシェアでトップになるなど、Buyeeでの流通も多い国となっています。
まずは、北米エリアからの越境ECで人気なカテゴリトップ5の推移を見てみましょう。
こちらのランキングを見ると、2020年から2023年まで北米エリアは一貫して「おもちゃ」系のカテゴリが上位を占めていることがわかります。
中でも人気が高いのは、ビデオゲーム関連商材です。最新のタイトルやハードは現地で購入できるケースが多いため、越境ECでは過去に販売されたPlayStationシリーズやWiiシリーズ、ニンテンドー ゲームキューブ、NINTENDO64といったハード(ゲーム機本体)や、各機種向けのソフトのリユースが多く流通しています。
この背景には、北米エリアでのゲームそのものの人気に加えて、日本のレトロゲームブームがあります。2021年には、1985年に発売された『スーパーマリオブラザーズ』が未開封の状態でアメリカのオークションに出品され、156万ドルで落札されたと話題になっていました。
2023年のランキングで5位にランクインしている「フィギュア」は、2021年まで「おもちゃ・ゲーム」カテゴリで集計していましたが、コロナ禍に動画配信サービスが普及し、NetflixやCrunchyrollなどを通して日本のアニメが広く視聴されるようになったことで関連グッズの購入が伸びました。そのため、2023年から単独カテゴリとして扱ったところ、やはり上位に食い込む結果となっています。
4位にランクインしている「トレーディングカード」も、「おもちゃ・ゲーム」から独立したカテゴリです。日本玩具協会によると、2023年度の日本国内玩具市場規模は、前年比107.1%の1兆193億円と、過去最高を記録しています。中でも伸び率の高い商品分野は、前年度よりも425億円売上を伸ばし、2,774億円市場となっている「カードゲーム・トレーディングカード」です。同カテゴリの市場規模は、コロナ禍以前(2019年度)の2倍以上となっています。
カードゲーム・トレーディングカード市場がここまで伸びたのは、カードゲームやトレーディングカード自体の人気が高まっただけでなく、コロナ禍の外出自粛にともなう家中ホビー需要の普及や、社会問題としてニュースなどでも取り上げられているレアカードの高騰対策として、各メーカーが発行数を増やしたことなどが理由として挙げられます。今では、『ポケモン』『遊☆戯☆王』『ドラゴンボール』『ONE PIECE』といったコンテンツ作品から派生したものや、『ヴァイスシュバルツ』など日本発のカードが多数流通しています。
おもちゃ・ホビー系需要以外には、「ファッション」と「音楽」も2020年以降のすべてのランキングでトップ5入りしています。「音楽」にはCDなどが含まれ、ジャンルとしてはロックやポップスのほか、ゲームソングやアニメソングも購入されています。
「ファッション」では、デザイナーズをはじめとしたドメスティックブランドや、海外のハイブランド品が人気です。2020年、2021年でトップ5入りしていた「自動車・オートバイ」は、カスタムパーツなど部品類が購入されています。