店舗売上をさらに拡張するeコマースの可能性
2023年は、リアル回帰の動きから店舗事業の波が一気に押し寄せています。主に、コロナ禍で店舗事業を展開する企業を安く買収した企業、家賃が安い間に出店スピードを加速させた企業などが、現在店舗を中心に高い収益率を出しています。
一方で、店舗はキャパシティーが決まっているため、さらなる売上を目指すには店舗をさらに拡大するか、出店数を増やす対応が必要になります。他に売上を伸ばすには、店舗で商品を販売する「店販(てんぱん)」や、eコマースで商品を販売するといった方法があります。
本連載では、現在美容やフィットネス関連のサービスを店舗型で提供している方、店舗の来店客に商品を紹介し、購入するプロセスを既に構築している方に向け、新規でEC販路を開拓する際に役立つ情報をお届けします。ぜひご覧ください。
eコマースと店販の一番の違いは「CVR」
まずは、EC販路と店販の違いは何か考えてみましょう。シンプルに答えると、「CVR(コンバージョンレート:顧客転換率)」が大きく異なります。
たとえば、エステティックサロンに来店したお客様が、施術を担当したスタッフから施術時に使用した商品やアフターケアにおすすめの商品を勧められたら、家でも「使いたい」「購入したい」と思う可能性は高まるでしょう。実際に体験して商品の良さを体感した上で勧められる店舗では、ECサイトよりも購入確率が高くなります。
ECサイトでは購入前の体験提供や、店舗であれば可能な購入検討時の質問に対する回答、プロのスタッフからのお墨付きコメントなどを伝えるのが難しく、「ウェブ上の画面」という限られたスペースで購買喚起を行わなければなりません。そこで購入のきっかけを与えるために活用されるのが、LP(ランディングページ)です。商品に興味をもったお客様をLPに誘導し、懇切丁寧な説明をすることで購入確率を上げるのが、このページの目的といえます。
「CVRが低くなりがち」と伝えるとデメリットのようにも見えますが、ECサイトにももちろんメリットがあります。店舗であれば、お客様はサービスを受ける前後(店舗にいる間)に購入の決断をしなければなりませんが、ECサイトであればお客様の好きなタイミングでパソコンやスマートフォンなどからアクセスし、いつでもどこでも自分のペースで購入可能です。十分な比較検討をしたり、自分なりに納得がいくまで情報を得たりした上で購入に至れる点は、お客様目線で考えればメリットといえるでしょう。
しかし、「百聞は一見にしかず」という言葉がありますが、いくらウェブ上であらゆる情報収集が可能になっても、「実際に使ってみた」という経験には勝てません。いわば「百見は一体験にしかず」です。