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2023年夏のShopify Editions 注目は「Sidekick」
2023年7月27日(日本時間)に、Shopifyから発表された「Shopify Editions Summer '23」。猫の手も借りたいほど忙しいEC担当者の相棒になり得るパーソナル・アシスタント「Sidekick」の登場など、様々な新機能が追加されたが、河野氏はこうした動きを踏まえ「Shopifyはもはやプラットフォームとして、BtoCのECカートやeコマースの枠組みを超えたものに進化しつつある」と述べた。
「Shopifyはeコマースを売りやすくするだけでなく、様々なチャネルのハブとして機能することを目指した動きを見せています。それは、オンライン・オフラインといったチャネルの差だけでなく、BtoC・BtoB・卸といった売り方も含めたものです。
今後、グローバルでは購買を取り巻く環境すべてがよりEC化・デジタル化されていくでしょう。日本もShopifyなど、グローバル勢の動きからあるべき姿を模索していかなければなりません」
「やりたい」がすぐに実現できる売り場作り、できていますか?
2023年、「GPT-4」登場以降の生成AIブームは目を見張るものがあった。先進的なツールやテクノロジーが何か一つ現れれば、世の中が大きく前進すると実証した例といえよう。
しかしこれは、eコマースの売り場作りにあたり「今」だけを見据えた対応では不十分であることも私たちに教えてくれた。河野氏は「時代の変化に臨機応変に対応できるよう、あらゆる外部のものと滞りなく連携可能なプラットフォームを選ぶべき時代が来たと自覚しなければならない」と説いた上で、こう続けた。
「たとえば、『Zapierを使って定型業務を自動化する』といったことすらエンジニアの開発をともなうようだと、世の中の変化に対応しきれなくなってしまいます。
本来、ブランド担当者は『顧客体験をどう良くしていくか』といった課題に向き合うべきですが、それに専念できないほど業務があふれている現状をどう解決するか。それには、テクノロジーの力が必須です。自社のECサイトや売り場が、『やりたい』と思ったことをすぐに形にできる環境になっているか。なっていないのであれば、一刻も早くそれを実現できる環境にしていかなければなりません」
そこには、「発想の転換も必要」だという河野氏。自社が想像する「完璧なもの」を作り上げようとすると、どうしてもフルスクラッチなど自社で1から仕組みを作り上げる思考になってしまうが、現代のスピードに対応するには「及第点のありものを組み合わせる」といった思考が欠かせない。
「『現時点でのベストは、次の日に塗り替えられる』と理解し、素早く世に出して顧客の反応を見ながら磨き上げることも、ブランドらしさある売り場作りに必要な考え方です。流行をやみくもに後追いする思考からの脱却も、忘れてはなりません」