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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

勝つD2C 注目ブランド大研究

「BOTANIST」ヒットの裏で組織が崩壊 失敗を経験して気づいたI-neの「人」重視の仕組み作り

 「BOTANIST」や「YOLU」を筆頭に、ヘアケアブランドのヒットで知られるようになったI-ne。代表取締役社長の大西洋平氏が創業後、初期は社員数名のみだった同社だが、BOTANISTの大ヒットにより数百名規模の組織への進化を求められた。創業メンバーであり、執行役員 兼 ダイレクトマーケティング本部 本部長を務める伊藤翔哉氏に、I-neのこれまでの歩みを聞いた。

3年間で社員数が5倍に

 今でこそ、社員数300名を超える企業となったI-neだが、伊藤氏が入社した当時の社員数は5名。伊藤氏は、「友人に誘われてI-neの創業に関わることになった」と当時を振り返る。

「正直、マーケティングやeコマースに詳しかったわけではありません。若かったですし、創業メンバーと一緒に会社を大きくして『お金持ちになれたら良いな』くらいの気持ちでした」

執行役員 兼 ダイレクトマーケティング本部 本部長 伊藤翔哉氏
株式会社I-ne 執行役員 兼 ダイレクトマーケティング本部 本部長 伊藤翔哉氏

 転機が訪れたのは、企業が成長し年商が10億円ほどの事業規模になった2012年頃だ。それまでのI-neでは、「企業としてどのような価値を提供するのか」といった経営理念が明確化されていなかった。そのため、社員同士のすれ違いが生じ、社内の雰囲気が良いといえない状況に陥ったそう。

「多くの社員が、お金を稼ぐ以外で仕事をする意義を見失っていました。そんなとき、当社の代表である大西(洋平氏)が気づいたのが、会社の目指すところでもある『経営理念』の持つ力です。『世界中の人に幸せを届けられる商品作りをしよう』という考えのもと、経営理念を作成。5年後、10年後と中期・長期計画を立て、軸を持って突き進んできました」

 そして2015年、同社の顔ともいえるブランド「BOTANIST」の大ヒットが、さらなる変革をもたらす

 伊藤氏らがBOTANISTを販売し始めたとき、まずは市場の反応をうかがってから販売数を増やすか判断する予定だった。しかし、テストマーケティング段階で、BOTANISTは予想以上に売れてしまったのだ。

「本格的な販売開始前だったため、生産体制や在庫管理、発注業務などがまったく整備できていませんでした。受注しても商品が準備できず、小売店様などに迷惑をかけてしまいました。当時の営業担当の社員が、各社に頭を下げていたのを今でも覚えています」

 それでもBOTANISTの人気は衰えず、発注から入荷まで「半年待ち」の状況となった。

 想定を超えた需要に対応するため、I-neは組織を急拡大。BOTANISTの発売時には60名未満だった社員数が、2015年から2017年の間に300名にまで膨れ上がった。数字上では不足していたリソースが増えたものの、人数が増えるにつれて新たな課題が出てくる。

「とにかく足りないポジションを埋めるために、せっかく作った経営理念への共感は二の次で人を採用しました。その結果、仕組み化しなくともできていた意思疎通がスムーズにできなくなったのです。I-neの強みであった意思疎通やマーケティング手法が活かせず、組織が崩壊してしまいました」

 これをきっかけに、属人化していた運営体制を見直すなど、I-neの経営メンバーは組織の立て直しへ向けて動き出した。

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/12962 2023/07/05 07:00

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