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ブックオフが目指す「ひとつのBOOKOFF」によるOMO戦略とは

 「BOOKOFF」を全国展開しているブックオフコーポレーション株式会社は、総合リユース企業として、実店舗や自社EC運営のほか、地球環境の保全活動にも積極的に取り組んでいます。今回は、同社の事業内容やビジネスモデルなどを解説します。

 ブックオフコーポレーション株式会社は、中古図書やゲーム、古着などさまざまな商品を取りそろえた「BOOKOFF(ブックオフ)」を全国に展開している企業です。ECサイト「ブックオフオンライン」も運営しており、「ひとつのBOOKOFF」としてオフラインとオンラインを融合させるOMO戦略を進めています。

 この記事では、同社の事業内容やビジネスモデル、事業の強み、最近の取り組みについて解説します。

ブックオフコーポレーション株式会社の企業情報・事業内容の概要

 まずは、ブックオフコーポレーション株式会社の基本的な企業情報を確認しておきましょう。

ブックオフコーポレーション株式会社の企業情報

 ブックオフコーポレーション株式会社の基本的な企業情報は、次の表のとおりです。

社名 ブックオフコーポレーション株式会社
本社所在地 神奈川県相模原市南区古淵2-14-20
設立年 1991年8月
代表者名 代表取締役社長 堀内康隆
株式公開 東証プライム市場上場
資本金 1億円
おもなグループ会社
  • ブックオフグループホールディングス株式会社(親会社)
  • 株式会社ブックレット
  • 株式会社ブックオフウィズ
  • 株式会社ブックオフ沖縄
  • 株式会社マナス  など

ブックオフコーポレーション株式会社の事業内容

 ブックオフコーポレーション株式会社は、フランチャイズ店舗を含め全国に約800店の「BOOKOFF」店舗を展開しています。中古書籍やCD、DVD、ゲーム、トレーディングカード、中古携帯電話、PB(プライベートブランド)商品など、さまざまな商品を取り扱っていることが特徴です。

 また上記に加えて、アパレル商品を加えた中型複合館「BOOKOFF PLUS(ブックオフプラス)」や、スポーツ用品・ベビー用品・貴金属・雑貨などを取り扱う大型複合館「BOOKOFF SUPER BAZAAR(ブックオフスーパーバザー)」などの全国展開も推進しています。

 国内のみならず海外にも店舗展開しつつ、オンライン事業としては「ブックオフオンライン」も運営しており、総合リユース企業として潜在市場の掘り起こしを進めています。

ブックオフコーポレーション株式会社の沿革

 次の表では、ブックオフコーポレーション株式会社のおもな沿革をまとめています。

年月 沿革
1990年5月 神奈川県相模原市にBOOKOFF直営1号店オープン
1991年8月 ブックオフコーポレーション株式会社設立
1991年10月 BOOKOFF全国フランチャイズチェーン展開開始
1996年12月 中古家電の取り扱い開始
1999年4月 中古子供用品の取り扱い開始
2000年1月 中古スポーツ用品の取り扱い開始
2000年2月 BOOKOFF海外1号店オープン
2000年4月 中古アクセサリー、中古衣料の取り扱い開始
2001年9月 食器等の中古雑貨の取り扱い開始
2004年3月 東証第二部上場(2005年3月に第一部指定変更)
2007年4月 中古ホビー商材の取り扱い開始
2007年8月 ECサイト「ブックオフオンライン」サービス開始
2010年4月 サイト全面リニューアル、注文変更機能リリース
2011年2月 ブックオフオンラインモバイルサイトオープン
2012年7月 ブックオフオンライン楽天市場店オープン
2013年5月 ブックオフオンラインAmazon店オープン
2014年10月 オンライン中古書店初となる提携クレジットカード発行
2015年12月 ブックオフオンラインヤフオク!店オープン
2017年10月 Amazonマーケットプレイス新規出店
2018年10月 純粋持株会社ブックオフグループホールディングス株式会社設立
2019年1月 ブックオフコーポレーション株式会社とブックオフオンライン株式会社が合併

 1991年8月に設立されたブックオフコーポレーションは、家電や子供用品、ホビー商材と、取り扱うカテゴリを少しずつ増やしてきました。

 ECサイト「ブックオフオンライン」のサービスを開始したのは2007年8月です。その後も2011年2月にモバイルサイトを、2012年7月には楽天市場店を、2013年5月にはAmazon店をオープンするなど、オンライン出店や会員数を着実に増やしています。

 そして2019年1月にはブックオフコーポレーション株式会社とブックオフオンライン株式会社が合併しました。この合併からも、同社が「ひとつのBOOKOFF」によるオンラインとオフラインの融合戦略(OMO戦略)を図っていることがうかがえるでしょう。

ブックオフコーポレーション株式会社の強みや特徴

 続いて、ブックオフコーポレーション株式会社の強みや特徴を解説します。

ブックオフコーポレーション株式会社のビジネスモデル

 ブックオフコーポレーション株式会社ならびにBOOKOFFグループにおけるビジネスモデルのおもな特徴は、以下の3点です。

  • 古本の目利きを不要にしたビジネスモデル
  • オンラインとオフラインの融合(OMO戦略)
  • 富裕層向けリユースの拡大

 BOOKOFFのビジネスモデルでは、古本の目利きが不要です。従来、古本の目利きは専門家による査定が必要であり、事業参入が困難でした。そこで同社は、古本の価値を新しさや保存状態で決めるというシンプルなビジネスモデルを定め、明るい店内で新古本を扱うサービスの大衆化を図りました。

 また、アプリを基軸に「ひとつのBOOKOFF」を展開し、オンラインとオフラインを融合するOMO戦略を図っています。たとえば、アプリで購入した商品は近くの店舗・自宅発送のどちらでも受け取り可能です。

 富裕層向けリユースの拡大もおもなビジネスモデルのひとつです。従来のメインターゲットであった大衆層に加え、BOOKOFFを普段利用しない富裕層向けに百貨店や高級エリアでの買い取り窓口を設置しています。

ブックオフコーポレーション株式会社の事業の強み

 ブックオフコーポレーション株式会社のおもな事業の強みは、日本最大級のリユースチェーンを展開している点です。

 同社は全国に約800店舗を展開し、年間利用者数約9,000万人、カード会員数約1,700万人と多くの利用者を獲得しています。リユース業界における認知度、書籍在庫数ともにトップレベルといえる同社は、本だけでなく、アパレル用品や娯楽用品、スポーツ用品、雑貨などの豊富な商品を取り扱っている点も強みです。

 ほかには、スマートフォンを使ったユーザーの利便性も追求しています。商品を売る際に審査結果をスマートフォンに通知する機能や、買い取り代金のキャッシュレス受取機能など、オンラインを駆使したよりよいユーザー体験を提供しています。

ブックオフコーポレーション株式会社の最近の取り組み

 ここでは、ブックオフコーポレーション株式会社の最近の取り組みをいくつか紹介していきます。

国内リユース事業におけるCO2削減

 ブックオフコーポレーション株式会社は2021年6月1日~2022年5月31日の期間、本やゲームソフト、衣服などの国内リユースにより、年間約20.5万トンのCO2排出量を削減しました。ほかにもモノの寿命を伸ばす取り組みを行うなど、持続的な地球環境の保全に貢献する活動を行っています。

東急株式会社・東急電鉄株式会社と連携した資源循環型まちづくりへの実証実験

 ブックオフコーポレーション株式会社とブックオフグループホールディングス株式会社は2021年12月、東急株式会社・東急電鉄株式会社と連携し、保管期間が過ぎた東急線の忘れ物や駅直結施設で売却された不要品のリユースを実施しました。ブックオフのリユース・リサイクルに関するノウハウと店舗網を活用して再流通・再資源化させて環境負荷低減効果を検証しつつ、今後取り組みの対象を拡大していく予定です。

相模原市と包括連携協定を締結

 ブックオフコーポレーション株式会社は2021年4月、個性豊かで活力のある地域社会づくりと市民サービスの向上に向け、創業の地である相模原市と包括連携協定を締結しました。具体的には、市内の空き家増加抑制啓発や、子ども食堂、無料学習支援塾などへの児童用書籍提供などの実施に向けて協議しています。

ブックオフコーポレーション株式会社の気になるトピックス

 そのほか、ブックオフコーポレーション株式会社の気になるトピックスを取り上げていきます。

2023年3月7日:ブックオフと特定非営利活動法人フローレンスが提携 宅配買取寄付サービス「キモチと。」を活用し、孤立し困窮する日本の親子に支援と社会とのつながりを届ける取り組みを開始

 ブックオフコーポレーション株式会社は、特定非営利活動法人フローレンスと提携し、不要になった本やCD、DVD、ゲームソフト等で支援、応援するキモチにかえる宅配買取寄付サービス「キモチと。」を通して、経済的・精神的に追い詰められ困窮する親子や妊婦を支援する取り組みを開始。

2023年3月3日:ブックオフが、ご自宅にある本、CD、DVD などの不要なモノでトルコ地震の被災地に寄付が出来る取り組みを開始

 ブックオフコーポレーション株式会社は、認定特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンと共同で、ブックオフが提供しているインターネット宅配買取サービスを利用して不要になった本やCD、DVD、ゲームソフトなどを送ると、買取金額全てをトルコ地震の被災地に寄付する取り組みを開始。

2023年1月23日:ブックオフ、ブランド商材やファッション・コレクティブ商材を取り揃えたEC サイト「rehello(リハロ)」をオープン ~EC サイト「ハグオールファッション」を機能拡充させ大幅にリニューアル~

 ブックオフコーポレーション株式会社は、これまで「ハグオールファッション」という名称で展開していたECサイトの取り扱い商材や機能を大幅に拡充し、ブックオフグループのプレミアムラインを扱うサイト「rehello」として新たにオープンした。

2023年1月11日:ブックオフが、デジタル顧客接点の強化に「KARAKURI chatbot」を採用

 ブックオフコーポレーション株式会社は、公式通販・買い取りサイト「ブックオフオンライン」に、カスタマーサポート特化型AIチャットボットを提供するカラクリ株式会社の「KARAKURI chatbot」を導入し、問い合わせ件数35%削減を実現した。

2022年12月21日:ブックオフが約800店舗のビッグデータ活用へ向けたシステム再構築のため「LaKeel BI」を採用

 ブックオフコーポレーション株式会社は、ビッグデータ活用へ向けたシステム再構築のため、株式会社ラキールの大手法人向けビジネスインテリジェンスシステム「LaKeel BI」を導入することを決定した。

2022年7月7日:“SDGsとキャリア教育″の融合プログラム”「学校ブックオフ」プロジェクト全国の小・中学校・学童を対象に授業実践校を募集します

 ブックオフコーポレーション株式会社は、一般社団法人日本文化教育推進機構と共同で、全国の小学生を対象に「SDGsとキャリア教育」の融合プログラム「学校ブックオフ」プロジェクトを2021年4月より開始。2021年度で約2,000人の児童を対象にプロジェクトを実践した。

2022年4月27日:大日本印刷とブックオフ 「DNP引越し手続き一括連携サービス ドンドンパ」と宅配買取サービスを連動

 ブックオフコーポレーション株式会社は、引越しの際に必要な行政機関や民間事業者への諸手続きをオンラインで行える大日本印刷株式会社の「DNP引越し手続き一括連携サービス ドンドンパ」と自社の「宅配買い取りサービス」を連動させた新サービスを2022年4月27日より開始した。

まとめ

 ブックオフコーポレーション株式会社は、全国に約800店舗展開されているBOOKOFFを運営する企業です。新古本をはじめ、CD・DVDやゲーム、トレーディングカード、古着など多種多様な商品を取り扱っている総合リユース企業であるといえます。

 また、アプリを基軸に「ひとつのBOOKOFF」を展開し、実店舗とECサイト「ブックオフオンライン」を融合させるOMO戦略を図っている点も特徴的です。

 CO2排出量削減や再流通・再資源化への取り組みにも注力する同社は、今後も総合リユース企業として持続的な地球環境の保全にますます貢献していくことでしょう。

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EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

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