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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

稲葉さんだから年178本アップが目標?YouTube ショート活用で挑戦を続けるくら寿司の思いとは


 SNSの普及により、メッセージやコンテンツを自らの手で気軽に発信できるようになった現代。しかし、企業・ブランドにとっては「何を発信したら良いのか」「誰に語らせたら良いのか」と二の足を踏むケースも多々あるのではないだろうか。今回は、2020年より投稿を開始し、2023年1月時点で最高1,880万回再生を記録するショート動画を生み出すなど、着実に存在感を示しているくら寿司株式会社のYouTube運用に着目。開始の経緯や運用体制、コミュニケーション作りとして意識していることを同社 広報・マーケティング本部の小坂博之さんに聞いた。

新規採用はゼロ 熱意から手探りで開始したYouTube施策

 くら寿司が、2020年より運用を開始しているYouTubeチャンネル「くら寿司 178イナバニュース」。社内で販売促進部に所属する稲葉さんが「くら寿司公認YouTuber」として出演し、継続的なコンテンツ発信を実現。2023年1月末時点でチャンネル登録者数4.85万人を記録するなど、着実に成果を積み重ねている。

 企業・ブランドによっては「SNSや動画コンテンツを介した顧客交流」を命題に、経営陣側からこうした施策強化の旗振りがされることも多い。しかしくら寿司の場合は、ボトムアップで施策提案がなされたと説明する小坂さん。

「くら寿司には、1年めの社員から店長・マネージャーなど役職にかかわらず、『くら寿司をより良くするための提案』ができる仕組みが存在します。そこに稲葉から『動画での訴求をより強化すべき』という提案があったのが、YouTube施策開始のきっかけです」

くら寿司株式会社 広報・マーケティング本部 広報部 マネージャー 小坂博之さん

 稲葉さんはアルバイトとしてくら寿司に入社し、社員となった勤続20年以上のベテランだ。くら寿司愛が人一倍強く、その思いをチラシ作りなどの販売促進領域で活かしていたが、「自社のことをより好きになってもらうには、社員から動画でおいしさや商品の魅力を伝えたほうが良いと考えて提案した」とのこと。

「稲葉は社内プレゼン時に資料として、自身でお寿司を食べる動画を撮影して伝えかたの提案までしてきました。経営陣もそれを見て、『ここまで形にできるなら、自分たちで始めてみてはどうか』と支援することを決めたのです。くら寿司は昔からチャレンジに寛容な会社ですが、稲葉の熱意がなければYouTubeの取り組みは始まっていなかったと思います」

 実は「愛されキャラではあるが、しゃべりが特段得意というわけではない」という稲葉さん。販売促進部で一緒にYouTube制作を担当する岩澤さんとふたりで、企画出しやテンポ感、トンマナといった「YouTubeのお作法」を踏まえた台本作成を行い、凝縮した情報を届けようと日々模索している。

「最初は広報部も企画出しのサポートを行っていましたが、現在は軌道に乗ってきたためふたりに任せている状況です。編集作業は、広報部・販売促進部の社員やパート勤務の方が新たに編集ソフトの使いかたを覚え、担当しています。YouTube開設にあたっての人材採用などは行っていません。また、『くら寿司として世に出してふさわしい動画か』『社外秘の情報が映り込んでしまっていないか』といった観点から、広報部が動画の最終チェックを担当しています。

 広報部としては、企画の段階から『あれもだめ』『これもだめ』と制約を増やしてしまうのは良くないと考えています。おもしろさや継続性を持たせるには、自由度も欠かせません。稲葉も岩澤も社員なので、もちろんある程度の線引きは理解していますが『見てもらえる動画、おもしろい動画を作りたい』という精神からギリギリを攻めた結果、少しはみ出てしまうこともあるため、広報部がストッパーの役割を担っています」

内製で継続的な情報発信を行うYouTubeチャンネル「くら寿司 178イナバニュース」

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/12297 2023/07/07 16:35

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