ポジティブな数字を伸ばすだけでなく、店舗に置き換え改善方法を考えよう
当記事では、GMOペイメントゲートウェイ株式会社 イノベーション・パートナーズ本部 イノベーション戦略部 集客支援グループに所属する高畑が、当社が携わってきたECサイト成長支援プロジェクトの一部をお見せしながら、「プチ改修」の重要性をご紹介いたします。
前回まで、「新規ユーザーの成果改善施策」「アップセル・クロスセルに効く施策」および話題の「Google アナリティクス4(GA4)の分析方法」などのテーマを取り上げてきましたが、今回は「直帰率を下げるためのアイディア集」というテーマで、考えかたと事例をお伝えします。
これまで当連載では、ECサイトの売上向上のために、さまざまな施策を紹介してきました。それらは前述のようなKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)の成果向上に寄与する施策であったり、「客単価」の向上につながる施策であったりと、「ポジティブな数字を増やす/伸ばす」という発想で考えているものが主体となっています。
しかしながら、売上やKPIといった成果の向上を目指そうとする場合、「ネガティブな数字を減らす/落とす」という考えかたも必要になります。そのネガティブな数字の中でもわかりやすいのが「直帰率」です。
直帰率はGoogle アナリティクス(GA)上の指標のひとつで、次のように定義されています。
直帰率=直帰数÷セッション数(訪問数)
セッション数(訪問数)に対して「どれだけの人が直帰したか」を表した割合が直帰率となりますが、旧Google アナリティクス(ユニバーサル アナリティクス)では、「閲覧を開始したページから2ページめに遷移」「PV相当のアクションをしないでサイトを離脱」した場合に直帰とカウントされます。
なお、GA4ではエンゲージメントがなかったセッションを「直帰」と定義しています。エンゲージメントとは「セッションが10秒を超えて継続した」「セッション中に2回以上のページビューもしくはスクリーンビューが発生した」「セッション中にコンバージョンイベントが発生した」ことを指します。これらがひとつも発生しなかったセッション数が直帰数となり、ユニバーサル アナリティクス同様、セッション数で割ることで直帰率が算出されるという仕組みです。ちなみに、GA4のほうがエンゲージメントに該当するアクションの幅が広いことから、多くの場合、ユニバーサル アナリティクスよりもGA4の直帰率が低く出る傾向にあります。
ユニバーサル アナリティクスとGA4どちらで計測をしていたとしても、少しでも直帰率が下がれば「ポジティブなアクションを取る人が増えた」と考えて良いでしょう。実店舗に置き換えると、「直帰する=店の入り口付近を覗いてすぐに出ていってしまった」ということです。店に入った瞬間に「この店は違うな」と出て行ってしまう顧客を減らすにはどうすべきか。「店を見渡す(=10秒以上セッションを維持する)」「棚をいくつか見る(=ページビューを2回以上する)」「商品を手に取る(=コンバージョンイベントが発生する)」顧客を増やすには、何ができるか。こうした視点を持つと、改善方法の見つけかたがよりスムーズになるはずです。