ソーシャルメディア化が進むEC ハッシュタグ活用で高まるレビュー、Q&Aの有用性
山崎氏によると、OMOの必須要件である店舗のデジタル化のファーストステップは、ECで活用されているデジタルマーケティングの技術や手法を店舗にも取り入れ、活用できるようにすることだと言う。ECでの活用実績・ノウハウが蓄積されており、店舗でも活用すべきマーケティング要素の例として、山崎氏はまず「レビュー」を挙げた。
「購買行動のスタート段階で商品のレビュー情報を検索・参照することは、今や当たり前になっています。購入検討段階のユーザーにとって、ブランド・メーカーによる一次情報はもちろん重要ですが、実際にその商品を購入・使用したユーザーが発信するUGC(User Generated Contents)、つまりレビューのほうがより信頼性の高い情報として重視される傾向にあります」(山崎氏)
そのレビューの進化系が「Q&A」だ。購入検討段階のユーザーが投稿した質問に対し、すでに商品を購入した顧客や店舗スタッフ、ブランド・メーカーの担当者が回答するスタイルは、インタラクティブなUGCと言える。
「Q&A投稿を行う顧客はアグレッシブな傾向があります。そのため、購買につながる期待値の高い顧客との貴重なエンゲージメントポイントとなり得ます」(山崎氏)
レビューやQ&Aの活用が進みデータが大量に蓄積されると、知りたい情報が埋もれてしまう、散在する関連情報が見つからないといった状況に陥りやすくなる。そこで有効なのが、SNSですでに活用されている「ハッシュタグ」だ。
「レビューやQ&A、商品説明のテキストからキーワードを抽出してハッシュタグとして紐づけることで、複数商品間、商品とレビュー間、複数レビュー間などを有機的につなぐことが可能です。これにより、顧客は知りたい情報や気づかなかった関連情報などをスムーズに入手できるようになります。ハッシュタグによる情報の整理・関連づけが、膨大なUGCから有用な集合知を導き出す上で非常に役立つのです」(山崎氏)
多くの情報が掲載され、インタラクティブな交流が活性化するECサイトは、ソーシャルメディア化が進んでいると言っても過言ではない。山崎氏は「2025年には、ソーシャルコマースが3倍の規模になると言われている」と補足した。
なお、こうしたレビューやQ&A、ハッシュタグを店頭でも顧客に活用してもらうには、顧客が店舗にいる際に自身のスマートフォンから容易に自社ECへアクセスできる環境を用意する必要がある。たとえば、レビューやQ&Aページにアクセスできる二次元コードを商品ごとに提示しておく。もしくは、売り場に設置したデジタルサイネージやタブレットに最新のレビューを表示するなどの方法だ。
「来店したユーザーが他社ECサイトにアクセスして購入まで進んでしまうことを防ぐ意味でも、売り場における自社ECへの誘導の仕組みは不可欠です」(山崎)