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ECホットトピックス

不正検知を最適化し、決済時の機会損失を防ぐ


 ECサイトの運営において、「ECサイトで本来購入してくれるはずのユーザーが、購入にいたらなかったこと」(機会損失)をどの程度考慮しているでしょうか。機会損失が発生することが好ましくないのは誰もが理解していることですが、現実にはサイトを訪問したユーザーが、何らかの理由で購入にはいたらず機会損失が発生しているケースは少なくありません。こうした機会損失を減少させたり、回避したりする手立てはあるのでしょうか。本コラムでは、長年EC決済サービスに携わってきた筆者の知見をもとに、機会損失の発生しやすい「決済」というステップにスポットライトを当てて、不正対策を講じながら、正当なユーザーによる売上を増加させる重要性を前編・後編の2回にわたって解説します。

 前編では、コンバージョンのために着目すべき4ステップについて述べました。4ステップを改めて振り返ってみると、①サイト集客、②商品ページ、③カート(買い物かご)、④決済のフェーズがあります。今回は特に、その重要性が認知しきれていない④決済フェーズの最適化について述べていきます。

 決済フェーズにおけるユーザーの離脱は、コンバージョンの低下を招くばかりか、せっかく購買意欲の高まったユーザーを失望させることにつながり、ブランド全体のユーザー体験を損なってしまいます。

不正を防ぐはずの「3Dセキュア」に思わぬ落とし穴

 そもそも決済フェーズでなぜ機会損失が起こるのでしょうか。考えられるのは、次の3つのケースです。

 1つ目は、決済フローでの摩擦です。これはシンプルに情報入力フォームへの記入項目が多すぎる場合もあれば、入力エラーが出たあと最初から記入し直さねばならずに離脱されてしまう場合もあります。

 ここで見落とされがちな要因がVISA、MasterCard、等の国際カードブランドが推奨する「3Dセキュア」(本人認証サービス)です。これは不正対策の一環として、決済時にクレジットカード会社のサービスサイトに遷移し、ID・パスワードを入力して本人認証を行うサービスです。

 「3Dセキュア」を導入すれば不正購入を抑止できるだけでなく、万が一不正な決済があったとしてもクレジットカード会社が損失を補填してくれる仕組みのため、金銭的な負担が軽減できます。「3Dセキュア」を導入したことで多額の不正損失を抑止できたケースもあり、EC事業者にとっては心強いサービスとして広く活用されています。

 「3Dセキュア」にはこうしたメリットがある一方でデメリットもあります。決済目前でカード会社のサイトに誘導されたユーザーが、そのサイトのID・パスワードがわからないという理由で本人認証できず購入をあきらめるケースです。「3Dセキュア」の導入によって不正損失が削減できたとしても、コンバージョンまで下がってしまっては元も子もありません。販売している商材にもよりますが、一般的に「3Dセキュア」では2~4割のカゴ落ちが発生しています。ファネル上流に投資し、獲得したユーザーが不要な摩擦で落ちてしまっては本当にもったいないです。

 2つ目はユーザーの望む支払い方法の選択肢が用意されていないことです。前編でも述べましたが、クレジットカードやコンビニでの請求書払いだけでなく、ウォレット決済やいわゆるBNPL(後払い決済)も選択肢に入れておくことをおすすめします。

優良ユーザーを「不正」と誤検知

 決済フェーズで起こりがちな機会損失の3つ目として考えられるのは、正当に購入しようとしている優良ユーザーを不正なユーザーと誤検知してしまうことです。昨今、不正検知ツールは増えていますが、事業者として損失を減らそうと判定条件を非常に厳しく設定し、「優良ユーザー」を「不正ユーザー」とみなしてしまうケースが散見されます。「不正ユーザー」と判定された場合、エラーとなってそのユーザーは購入することができなくなります。

 こうした誤判定が起こる理由として考えられるのは、次のようなケースです。代表的な例は、海外IPや海外発行のクレジットカードを一律ブロックしている場合です。国内でも海外発行カードを利用している海外居住者や、海外に住む日本人がギフト等で購入を試みたが出来ない、と言う話をよく聞きます。事業者としては商品の海外発送を扱っていないので、リスクの高い海外からのアタックを防ぎたいと言う理由でこのような条件設定をしている場合が多いようです。

 また過去に海外からのアタックで一度被害にあったため、以後一律ブロックしているケースもあります。一度設定してからは見直されることはなく、現状どれくらいの取引がこの条件でブロックされているか把握されていません。そこには意外に多くの機会損失が潜んでいると考えられます。特に商品の発送が不要なデジタルグッズで海外IPや海外カードをブロックしている事業者についてはより大きな改善機会があると考えられます。

 海外IPや海外カードに加えて、よくある厳しい判定条件は初回ユーザーに対する判定です。これまで蓄積してきたユーザー情報がないため、初回ユーザーに対しては購入金額が単純に閾値より大きかったり、接続IPアドレスと配送先が一致しない場合、等にリスクが高いと判定されブロックされるケースがあります。これまでの履歴がないため仕方のないこととは言え、新規ユーザー獲得を重点施策としてマーケティング投資する際は矛盾が起こります。

 過去の被害経験から判定条件(ルール)を積み重ねていることが多いと思われますが、判定条件を重ねれば重ねるほど「優良ユーザー」を「不正ユーザー」として判定してしまい、購入の機会を逸していることにも注意が必要です。

3Dセキュアを一部やめ、不正検知ツールを活用した国内ECサイト

 EC事業者が、これだけ煩雑な要素が絡み合っている決済のステップで、不正対策を講じながらも機会損失を防ぐ方法はあるのでしょうか。

 本稿の最後に、あるECサイトの取り組みを紹介します。このECサイトでは商品の特性上、不正購入の標的になりやすいという大きな課題がありました。あるときは数千万円の不正被害が起こることもあったといいます。そこで「3Dセキュア」を導入したところ、カード会社による損失補填のおかげで金銭的な損失はゼロにすることができました。

 しかしその一方で、不正による金銭負担は減ったものの「3Dセキュア」の導入に伴いコンバージョンが低下し(カゴ落ち)、購入を試みたユーザーのうち約2〜3割がカゴ落ちしていることがわかったといいます。

 そこで検討を重ねた末「3Dセキュア」の活用をやめ、これまでの判定条件(ルール)ベースではない、機械学習を活用した不正検知ツールの導入を決定しました。「3Dセキュア」の摩擦がなくなることで以前と比べコンバージョンが大幅に改善し、売上を伸ばすことができたといいます。同時に不正ユーザーは的確にブロックし、損失はほぼなく大きなリターンを得たといいます。

 これまで見落とされがちだった決済時におけるコンバージョン検証。何度も申し上げて来ましたがファネル上流で積極投資し、獲得したユーザーが「買う」と決めているのに決済で落ちては本当にもったいないことです。店舗で言えば既に商品吟味が終わり、レジで支払い準備をしている状態です。昨今のAI・機械学習と決済は相性がよく、決済のコンバージョン改善はそのまま売上や利益に直結するだけに、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

Forter 日本担当カントリーマネージャー 野田陽介(ノダヨウスケ)

日本担当カントリーマネージャーとしてForterに入社。Forterの日本事業を拡大すべく、市場開拓戦略を推進。これまでエンタープライズ向けセールスを15年以上経験しており、決済や小売業の分野で幅広い知識を持つ。前職は、PayPalにてエンタープライズセールスチームを率い、事業成長をけん引。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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