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2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2021 December レポート(AD)

融合するメディアとEコマース アメリカ・Albertsonsのショート動画活用に見る売場活性化の秘訣

ショート動画はオンオフの売場をつなぎ、買い物を楽しくする

 アメリカの現状を共有したところで、両氏はAlbertsons Companyを例に「小売のエンタメ化」と「リテールメディア」を深く探っていく。同社は「Albertsons」や「Safeway」などのブランドを展開し、全米10位の事業規模を誇る小売企業だ。店舗数は2,289、売上高は7兆8,000億円に上り、アプリ提供やEC展開のほか、サブスクリプションサービスや無人配送などにも着手。デジタル投資を積極的に進めている企業と言える。

 同社は小売から「Shoppertainment提供企業」へと進化すべく、自社の価値を整理した。逸見氏は、「Khan Retailing Success Matrix(カーン・リテール・サクセス・マトリクス)」と呼ばれる四象限の図を見せながら、説明を続ける。

 「Superior Competitive Advantage(優れた競争優位性)」と「Retail Proposition(小売命題)」の2軸をかけ合わせて生まれた、「Brand(製品ブランド)」「Low Price(低価格)」「Experiential(顧客体験)」「Frictionless(低摩擦)」という4つの項目。施策を整理する上で、今もっとも求められているのは顧客体験だ。Albertsons Companyはこのほかに製品ブランド、低摩擦も重視しており、「これらをすべてカバーできるソリューションとしてFireworkが採択された」と逸見氏は解説する。

 AlbertsonsやSafewayのECサイト・アプリでは、商品を使ったレシピ動画を中心とした縦型のショート動画が多数アップロードされている。アプリではフルスクリーンで動画視聴できるのもポイントだ。各動画から該当商品の商品詳細ページに遷移できるほか、動画を見ながらサイトの回遊、商品購入もできるなど、メディアと購買がスムーズに連携した体験を提供している。店頭でも商品ごとに二次元コードを表示し、それを読み込むことで各商品のクッキング動画が閲覧できる体験を提供する予定だ。

「オンラインとオフラインを行き来するひとつのトリガーとして、動画やライブ配信が活用できると考えております」(瀧澤氏)

 逸見氏は、「店頭のサイネージと比べても、商品ごとの動画にアクセスできる二次元コードは利便性が高い」と語った上でこう続ける。

「動画はストーリーでイメージができ、実際にその料理を作るかは別としても買い物を楽しいものにしてくれます。商品情報を伝えるところから体験にシフトする要素として役立てることができるでしょう」(逸見氏)

 Fireworkは、こうした動画展開を行う企業向けにコンテンツ制作を支える仕組みも提供している。動画制作を容易にできるツール提供のほか、継続的なコンテンツ制作を叶えるためのオペレーションや体制構築をサポート。今後は、テキストと画像を基にAIでスライドショーを自動生成する機能も提供予定だ。

 同社が重視するのは、あくまで10~20秒程度のショート動画である。作り込んだ動画をひとつだけ制作・配信するのではなく、多種多様な商品をさまざまな角度からたくさんの動画を使って紹介することで、顧客に視聴と商品選びの楽しさ・体験を与えることができる。

「今の時代の動画制作は、ブランドのメッセージを伝えるクリエイティブ性高いものを作りたいのか、顧客に商品を知ってもらうための動画を作りたいのか、社内できちんと目的を分ける必要があると考えています。Fireworkでは、こうした作り分けや戦略策定についてもご支援が可能です」(逸見氏)

 ショート動画を通して顧客の一次情報を取得し、CRMを実現できる点もこうした施策の重要なポイントと言える。Fireworkでは動画を起点に顧客接点を増やせるよう、ライブチャット、投票・アンケート機能などを有している。このように顧客参加型で楽しめる要素を盛り込んだ小売のエンタメ化を実現すれば、企業と顧客のエンゲージメントの深化が実現できる。すると、「もうひとつのキーワードであるリテールメディアの可能性も広がる」と逸見氏は語った。

次のページ
「広告」ではなく「情報」を届ける リテールメディアが持つ価値とは

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この記事の著者

松岡 亜希(マツオカ アキ)

フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。● http://pubapart.com/

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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