予約販売に注力するベイクルーズ 副社長自らDXを統括する理由とは
2021年8月、ベイクルーズは自社EC「BAYCREW'S STORE」内に、12日間限定の特設サイト「PRE ORDER 10%OFF Campaign」を開設した。同サイトは「JOURNAL STANDARD」や「IÉNA」など、31ブランド450点を超える今秋冬の新作商品が一覧でき、事前に予約すれば10%オフで購入できるというものだ。同サイト開設の経緯について、同社のDX推進を統括する野田氏は次のように語る。
「PRE ORDER 10%OFF Campaignは『欲しいを先取り』をテーマにしており、事前に予約したお客様が『欲しい商品』を確実に10%オフで入手できる予約販売サイトです。これまでEC・店舗に共通して『欲しい商品が買えなかった』というお客様の声もよく耳にしていました。そうした機会ロスを減らすとともに、当社としても先行予約の数量データから事前に需要予測を行い、在庫適正化やシーズン中の正価格販売を図る狙いがありました」
BAYCREW'S STOREの立ち上げにもかかわり、同社の飲食事業の主軸となっている「J.S. BURGERS CAFE」など数々の新規事業を立ち上げてきた野田氏。ベイクルーズの上席取締役副社長を務める同氏は、2020年9月にEC運営の統括責任者に就任。さらに2021年9月より複数の部門を統合し、DX統括として組織を刷新した。その経緯について「ECだけでなく全社的に遅れているDXをドラスティックに推進していくため」と話す。
「アパレル業界は一般にDXが遅れていると言われることもありますが、当社も紙の企画書やFAXのやり取りなど、アナログの部分が多く残っています。業務フローはもちろん、『今まではこうだったから』という考えかたも含めて刷新し、部門を跨いで全社的なDXを進めようとすると、ある程度の権限を持って包括的に推進する必要があります。また、私たちの事業には社外も含めたサプライチェーンが重要となるため、DX推進には取引先の協力が不可欠です。そうした社内外においてプレゼンスを発揮し、迅速な交渉や意思決定を行うために、私がDX推進の統括責任者となりました」
そんな野田氏にとってECはDXの一部であり、ともに推進していくべきものだと言う。顧客の利便性を追求すべく購買の場をデジタルに移したのがEC。その購買体験をより良いものにするために、現在あらゆる業務フローや販売の仕組みを再構築している。今回の予約販売への取り組みもそのひとつだ。