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新CEO登場のIBM、“らしさ”を出すSAP、クラウド戦略を進めるSAS

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2020/11/25 07:00

 新型コロナウイルス感染症の流行で、世界は様変わりしました。イベントも例外ではありません。これまで大規模なイベント会場で開催されてきたIT業界のイベントは、オンラインに場所を移しています。今回は、新CEOが登場したIBMとSAP、そして老舗アナリティクス企業SAS Institute のオンラインイベントを取り上げます。 ※本記事は、2020年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.14』に掲載したものです。

IBMが説く全企業のAIカンパニー化

 3月に入り、「イベントがキャンセルになる」という連絡が次々と入りました。通常なら3月後半からじわじわと忙しくなるのですが、3月、4月とカレンダーは真っ白になりました。

 テレワーク、EC、インターネットバンキング、オンラインセミナーなど、インターネット上でも成立するものはすべてオンラインに移行しているのと同様、イベントもオンラインに。4月の終わりごろから、オンラインでの記者会見が増えイベントも再開しました。

 これまで、「IBM Think」としてアメリカで年次イベントを開催していたIBMは、私にとってコロナ禍初の大型バーチャルイベントとなりました。「Think Digital Event Experience」と銘打ち、期間は5月6日と7日。時差を考慮して、アジア向けには朝に基調講演が配信されました。

 登場したのは、前任のGinni Rometty氏を引き継ぐ形で、4月にCEOに着任したばかりのArvind Krishna氏。GoogleのSundar Pichai氏、MicrosoftのSatya Nadella氏など、ハイテク業界はインド出身のCEOが多いのですが、Krishna氏もインド出身の58歳。IBM勤務が30年になるベテランです。

4月にIBMのCEOに着任したArvind Krishna氏。

 Rometty氏の置き土産が、Linuxやコンテナなどのオープンソース企業Red Hatの買収です。340億ドルという買収金額は、IBMにとっては過去最大であり、技術業界でも目を引く大型買収となりました。そのRed Hat買収をまとめたのがKrishna氏であり、すでにCEOへのレールは敷かれていたと言えます。

 初の基調講演でKrishna氏は、「すべての企業がAIカンパニーになる」と断言しました。これまで一部に集中していた専門知識を解放し、イノベーションを拡張させる方法がAIであるというメッセージが土台にあります。

 イベントの中で発表した「Watson AIOps」は、ITのオペレーションにAIを利用し、リアルタイムでITの異常検出から診断、応答を自動で行うというものです。予期できないITダウンによる機会損失は、年間265億ドルにも及ぶとのこと。IT運用に関連した作業の自動化が進めば、IT管理者の仕事も変わりそうです。

 また、新製品として「IBM Cloud Satellite」も発表されました。IBMのパブリッククラウド「IBM Cloud」を、オンプレミスなどさまざまな場所で動かすことができるもので、Red Hatのコンテナ技術「Red Hat OpenShift」を土台としています。移植性をもたらすコンテナを活用したマルチクラウドはIBMだけでなく、Google、Microsoftなどのクラウド事業者、さらにはDell TechnologiesやHewlett Packard Enterprise(HPE)などハードウェアベンダーもフォーカスしています。パブリッククラウド一辺倒からマルチクラウドへ──IBM自身が「クラウドの第2章」と言う時代にRed Hat買収をどのように活かすのか、今後が注目されます。

この記事は、紙の定期購読誌『季刊ECzine』に掲載した限定公開の記事です。
続きは以下の方法でお読みいただけます。


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